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8.5点(レビュー数:2人)

作者山本直樹

巻数1巻 (完結)

連載誌漫画アクション:1992年~ / 双葉社

更新時刻 2009-12-27 15:26:26

あらすじ 主人公である灰野勝彦は同級生の新井玲子と付き合っていた。彼は自分の生活をかなり恵まれたものだとは思っているものの、どこか閉塞感を抱いていた。そんなある日、高校教師として赴任した伊沢学が灰野家に下宿することになる。主人公とその彼女である新井玲子、同じ屋根の下で生活する伊沢学の関係を描く。

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この漫画のレビュー

9点 Dr.Strangeloveさん

漫画界屈指のテクニシャン、山本直樹があえてその技巧を抑えて
真正面からの正攻法で描いた青春漫画の名作。

ストレートなだけに著者の作品では逆に異質である。
4月、美人の彼女がいる灰野という高校生のもとに、兄の同級生だった女教師、
伊沢学が下宿することになるところから物語は始まる。あらすじだけ見れば
なんてことはない話だがこの人にしか出せない作中の情緒(日本映画的、ともいえる)
が実に味わい深く、数年毎に読み返したくなる。

最も印象に残ったセリフはラスト、灰野の「自分が誰かに影響するなんて思いもしなかった」。
それまでの淡々とした日常描写の積み重ね(それこそ人によっては退屈と思えるほど)は、
このセリフのためだけにあったのではないだろうか?
私はまだ19歳なので自分が他人に影響を与えた事など、ない(少なくとも自覚の範囲内では)。
しかしよく考えてみれば自分が他人に影響するなんて当たり前のことだ。
今、この瞬間にもどこかで他人に影響を与えているかもしれない。
そういうことに気付かせてくれた漫画。

ひょっとすると山本直樹の作品で一番好きかもしれない。
本当に上手い作家は技巧に頼らなくても良い作品が書けるのだ。
改めて山本直樹は凄いと感じた。名作だと思う。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2008-04-06 15:32:32] [修正:2008-04-06 15:32:32]

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