ホーム > 不明 > 月刊コミックトム > ブッダ

7.52点(レビュー数:23人)

作者手塚治虫

巻数14巻 (完結)

連載誌月刊コミックトム:1972年~ / 講談社

更新時刻 2012-06-18 23:35:39

あらすじ 舞台は今から2000年以上前のインド。人々はカースト制度と呼ばれる4段階の身分(バラモン(僧侶)、クシャトリヤ(武士)、ヴァイシャ(平民)、スードラ(奴隷)、更にカースト以下とされるバリア(不可触民))のもと暮らしていた。カピラバストウ(カピラ城)の王子ゴータマ・シッダルタはクシャトリヤの身分として、何不自由のない生活を送っていた。やがては結婚し、息子誕生と共に王位に就くことになる。しかし、幼い頃よりシッダルタは、「なぜ人は死ぬのか」「同じ人間なのになぜ身分があるのか」などの疑問を常に抱えていた。そして、息子が生まれた日。シッダルタは遂に僧としての道を歩み始めた……。

シェア
Check

この漫画のレビュー

2点 霧立さん

[ネタバレあり]

本編と同様、鹿に例えてみるが、生き物の世界に「無駄な殺生」などありはしない。
人が戯れに鹿を射ったとて、その亡骸は飢えたハゲワシやカラス、ハエや蟻たちの命を繋ぐかもしれない。
打ち捨てられた皮や骨はやがて分解され、大地の恵みとなるだろう。
その鹿が死んだことで食べられずに済んだ植物は新たな命を繋ぐ事ができよう。その植物がまた別の鹿や馬、昆虫の命を養うかもしれない。
そもそも捕食以外の殺生を行うのは人に限った話ではないし、食べるためでなくともその殺生は必ず他の命に影響を及ぼし、結果として他の生物の利となったり不利となったりする。ただそれだけの話であり、そこに善悪という判断基準が介入する余地はない。
また、生物が自らだけでなく、他の生物の事を考えるべきと言うのも解らない。全ての生物は自分達が生き残る事のみを最大の目標として他の生物と争い、捕食し、利用し、共生して来たからこそ進化や多様性を育んできたと言うのに。全ての生物が真摯な「生きるという欲望」のぶつかり合いしてきたからこそ、この星の生命の豊穣を生み出してきたと言うのに。各々の生き物が他者の生存や繁栄に想いをめぐらせたのなら、そこにあるのは安定という名の停滞であり、続く未来は進化が止まった末の破滅でしかない。

この作品は人間世界でしかありえない善悪という概念を生物全体に当てはめて物語を構築している。それが仏教の本質かどうかは分からないが、ともあれそれ故に私はこの作品を支持しない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-01-09 15:53:34] [修正:2015-01-09 15:53:34]

ブッダと同じ作者の漫画

手塚治虫の情報をもっと見る

同年代の漫画

月刊コミックトムの情報をもっと見る