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7.25点(レビュー数:4人)

作者青木幸子

巻数8巻 (完結)

連載誌イブニング:2006年~ / 講談社

更新時刻 2009-11-25 06:39:57

あらすじ 温度が視認できるという特殊能力をもつ主人公「楠野香也」の動物園での活躍を描く。

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この漫画のレビュー

8点 FSSさん

動物園の新米飼育員と動物の触れ合いを描いた「ほのぼの漫画」かと思いきや、変に動物を擬人化する事もなく、人間と動物、どちらか一方の視点に偏る事もなく、動物と人間の関係性や、自然と文明の在り方などをテーマに描いた、意外なまでにシビアな作品。

かと言って、説教臭い話や理想論的な話は少なく、あくまで人間の主観である主人公の視点に感情移入しつつ考えさせられるシナリオ作りになっている。特に「何故、コアラは人気がある看板動物なのに、観客の滞在時間が短いのか」という動物園の経営問題から入り、コアラの生態を考え、新たなコアラブームを作ろうとする。そして、ようやくコアラの問題について解決できたかに思えたが、そこには人間本位の考え方と動物園そのもののあり方が問われる事に…、というシナリオ作りには感心した。

また主人公の「温度を視認できる」という特殊能力も目新しく、その能力をちゃんと作品の中で有機的に絡ませていく使い方も上手い。

動物園の園長も外見とは違い一筋縄では行かない人物で、その「黒い」性格が作品のスパイスになっているし、主人公を動かす的確なアドバイザーとしても機能している。

あえて難点を言えば、絵柄には好き嫌いが出るだろう。この作品が作者のデビュー作だからなのか、技術的にもあまり高いとは言えず、個性と言うにはかなり線描が雑に見える部分が多く、絵柄に関してはあまり良い印象が持てなかった。もう少し丁寧に描いて欲しいところ。

ただ先述したように、動物園経営を通して、人間と動物の在り方や、文明とは何か、自然とは何か、と言ったような哲学的なテーマに至るまで考えさせられるシナリオは非常に質が高い。小、中学校などで授業の教材としても良いくらい。

一度は読んでも損は無い。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-01-22 20:02:11] [修正:2008-01-22 20:02:11]

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