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7.81点(レビュー数:11人)

作者山岸凉子

巻数11巻 (完結)

連載誌LaLa:1980年~ / 白泉社

更新時刻 2010-06-05 16:41:20

あらすじ 蘇我毛人はある日天女と見まごう美しい女童に出会い、ほのかな恋心を抱く。それは並はずれた知性と威厳を持つ年若い厩戸王子であった。孤高の王子に畏怖の念を持ちつつ近づいていく毛人,王子は自分の不思議な能力に共鳴できる毛人に徐々に心惹かれていくが・・。

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この漫画のレビュー

9点 ITSUKIさん

古代日本を舞台として、その雰囲気が百二十分出ている画風が非常に良いです。

フィクション・超常現象・ファンタジー的な要素を幻想的に踏まえながら実際の朝廷にあったような政治の権力闘争(昼ドラも有)も上手に描けていてどちらの面でも読み応えがあります。
ストーリーは濃厚で、全11巻(自分は文庫で読んだので7巻)といいつつその倍くらいの長さに感じました。

しかし、なんといってもこの作品の魅力は主人公・厩戸王子です。
序盤は謎の多い人物としてもうひとりの主人公である毛人の視点から描かれることが多いのですが、話が進むにつれてじょじょに王子の視点から心情が明かされていくのが上手い。

厩戸王子と蘇我毛人、何故二人は親しくなれたのか。
何故惹かれあいながら、何故お互い同じ男として生まれたのか。
終盤、湖で二人が語るシーンはなんとも印象的でした。

その設定に、こんな聖徳太子ありなの!?って誰もが思うはず。というか自分の漠然と持ってきた聖徳太子像と全く一致しませんでした。

表情の描き方に非常に神経が注がれていて、細かいです。
特に厩戸王子の中世的な顔立ちの描き方は凄い。
画力の話になると、「舞姫 テレプシコーラ」の20年前に描かれた作品ですが背景の描き込みの量や演出の巧みさは「日出処の天子」の方が良いです。
魑魅魍魎や鬼や仏の描き込みも凝っていてとても雰囲気が出ています。

買う際の注意としては、文庫サイズだと漢字の振り仮名が小さくてよみづらい点をあげておきます。
何しろこの作品は漢字の数に対して読み仮名の数が多いキャラクターが多いので。
穴穂部間媛(アナホベノハシヒトヒメ)とか額田部女王(ヌカタベノヒメミコ)とか菟道貝蛸皇女(ウジノカイタコノオウジョ)とか河上娘(カワカミノイラツコ)とかもうそういうのばっかりなので。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-18 00:35:50] [修正:2010-05-18 00:35:50]

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