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7.91点(レビュー数:36人)

作者中原裕

原作神尾龍 監修:加藤潔

巻数44巻 (完結)

連載誌ビッグコミックスピリッツ:2004年~ / 小学館

更新時刻 2012-10-08 12:26:00

あらすじ 関東某県にある彩珠学院高校野球部は、甲子園初出場で初優勝を果たした過去がある。しかし現在は毎年1、2回戦での敗退続き。元野球部監督の狭山校長は13年前の部員で、現在は悪徳商法のかどで留置所に入っている鳩ヶ谷を訪ね、新監督に就くよう依頼するが…

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この漫画のレビュー

9点 gundam22vさん

[ネタバレあり]

野球は好きなのに野球漫画はあまり読まない。どうしても嘘臭く作りもの感が拭えない。そんな自分でもこの作品は満足出来るほど、理論と実践のバランスが良く作りこまれていた作品だと思います。主人公がプレイヤーではなく監督の異色作品なのですが、それだからこそ理論・戦略・戦術・頭脳戦要素が非常に多いです。

それでも心理戦漫画にありがちな誰かが最初から全てを読み切っていたとかになる訳じゃなく、予想外の展開が起こり、その度に策を練り直す作業をするのでリアル感があがりましたね。采配の要素があっても、それが全てじゃない力勝負に委ねる限界も描かれており、野球の奥深さが描けていたと思います。試合のパターンも多彩で大量先制してから、追い上げられて最後はヒヤヒヤとか他スポーツ漫画じゃ滅多に見られないものがあったりします。

試合以外にも理論的な練習、学校人物の周辺関連の話も面白く、高校野球の表層じゃないシビアな舞台裏を描きながら、バランス良く話が進んだと思います。主人公のポッポ監督がダントツでキャラが立っていましたが、他キャラも派手さはありませんが、個性はあったと思います。浦沢直樹氏に兄弟弟子らしく、作風や絵が良く似ていますが、画力もあり作品が必要以上に汗臭い感じにはならないで個人的には良かったです。ただこういう漫画の仕方ないところですが、全国大会行ってからは因縁・伏線などに乏しく、会場から動かずにゲストキャラと連戦状態になったので熱量が落ちたかなという感じはありました。ただそこでしか描けないものだってたくさんあったのでよく粘ったとは思います。

全44巻と非常に長いですが読み応えがあり、面白さも安定して綺麗に完結した珍しい長編漫画です。野球・心理戦漫画として最高峰の面白さがあります。ただ野球ルールくらいは一応は知っていて、観戦出来るくらいの最低知識は必要でしょうね。それくらいの知識があれば、物語を楽しみつつ野球通レベルまで引き上げてくれるかと。個人的にはもっと有名になっていても良いのではと思うほどの近年漫画の名作だと思います。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2015-05-30 13:22:29] [修正:2015-06-13 19:15:32]

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