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7.86点(レビュー数:29人)

作者山田芳裕

巻数4巻 (完結)

連載誌週刊ヤングサンデー:2000年~ / 小学館

更新時刻 2012-11-27 20:06:18

あらすじ 人類初の火星着陸を果たしたクルーが消息を絶つ。アメリカ政府は全世界から救出隊を募集。三河度胸は過酷な訓練に耐え、宇宙飛行士を目指す。......トラック野郎の一番星は火星だった。亡き父の面影を胸に、男は度胸で勝負する。

備考 2007年に講談社からワイド版(全4巻)として復刊された。

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この漫画のレビュー

6点 FSSさん

[ネタバレあり]

非常に面白い作品だが、山田芳裕氏の個性的な絵柄と過剰気味な演出は、良くも悪くも人を選ぶのは確か。

主人公の度胸は、「努力」「ド根性」「バカ正直」「信念は曲げない」というように、漫画の主人公としては典型的なキャラクター設定だが、よくある「明朗快活な熱血キャラ」ではなく、必要なこと以外はほとんどしゃべらず、いつもムスッと黙りこくっている方が多いという、一見、陰気なキャラとして描かれている。もちろん、やる時にはやるし、凄まじい馬力を発揮して仲間を助けたり、仲間を裏切る事もないが、やはり主人公としてはあまりにも地味すぎた。いつも目を閉じているような顔付きもそれに拍車を掛けている。この主人公以外にも、ヤクザの組長とか、生意気な天才肌のガキとか、存在感の薄い中年夫婦とか、これまた陰気な女とか、意図的な設定ではあるだろうが、この「外し方」のせいで微妙に感情移入しにくいキャラばかりで、打ち切られてしまったのも、ある意味では仕方ない部分はある。

また肝心のストーリーにしても、宇宙飛行士を目指すための訓練が「水中で機械を操作する」とか「閉鎖空間で何日か過ごす」とか「厳しい環境下でのサバイバル」というようなありきたりなものばかりで、リアリティがある反面、意外性や面白味には欠けていて、やはり漫画としてはイマイチ地味だったと言わざるを得ない。

唯一、火星にいた「テセラック」という謎の存在(四次元生命体?)を出したところがユニークだが、どちらかと言えば、主人公たちを火星に行かせる「動機付け」のための存在といった印象を受ける。恐らく連載が続いていても正体がはっきりする事はなかっただろう。

仮にテセラックと度胸が対面しても、度胸はそんな事より他の仲間たちを助ける事のみを先決したはずで、結局、テセラックの事はそうしたドラマを描くためのギミックとしてしか描かれなかったはずだ。あんな物理攻撃の通じない四次元生命体が相手では、たとえ主人公の努力と根性を持ってしても対処の仕様がないだろう(笑)。

確かに良質な漫画だが、主人公の地味なキャラクター性、微妙なところで尖がっている個性のメインキャラたち、展開の意外性の無さなどにおいて、漫画として読み続けさせるには今一歩「何か」が足りていないのが残念。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-29 23:54:48] [修正:2008-02-29 23:54:48]

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