ホーム > 青年漫画 > 漫画アクション > この世界の片隅に

7.75点(レビュー数:8人)

作者こうの史代

巻数3巻 (完結)

連載誌漫画アクション:2007年~ / 双葉社

更新時刻 2012-07-19 22:52:41

あらすじ 戦中の広島、浦野すずは軍都、呉へと嫁ぐ……。新しい街、新しい人、新しい人生。築き築かれ、壊し壊され、それでも重なっていくいとおしき日々……。『夕凪の街 桜の国』で戦争の悲しみをまったく新しい形で現代に提示したこうの史代が描く新境地!

備考 第13回(2009年)文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作品。「THE BEST MANGA 2010 このマンガを読め!」(フリースタイル)第1位。「ダカーポ特別編集 最高の本! 2010」(マガジンハウスムック)マンガ部門第1位。

シェア
Check

この漫画のレビュー

10点 blackbirdさん

だんだんと20年8月に向かうにつれ、来るべき運命を知る身としては
怖くて読み進みたくないと思うのですが、読むのを止められない。
でも全体的に、あまりに悲壮感や絶望感に包まれすぎないのは、
すずの愛すべきキャラであり、深刻なシーンでもついつい笑いにオチる
家族たちのおかげ。
でも、哀しすぎると、笑いながら涙を流してしまう、
そんな切ない、ちょっと湿った笑いなんですよね。

また、この作者の描く夫婦像って、つかみ処がなく、最初はすず達もそうでした。
特にあの時代に、急遽夫婦になる人たちはこんな感じなのかもなあと。
でも、リンさんや水原さんの話が出てきてから、夫の人間ぽさや、
様々な感情を持て余すすずの複雑な表情が浮き出てきて、
ようやく人らしい感情、夫婦らしさが感じられるようになってきました。
最後にはいい空気が漂うようになりましたね。

映画のように、上から描写した家族の絵。
夫の不在中、留守を守れないと断言するすず。
右手を失い、今までできていた事を思い返すすず。
だんだんすずの存在を認めていった義姉。
すみちゃんの腕のシミ。
戦争が終わって、国の正体が見えてしまった時の悔しさ。
そして、生き残った者が何をするべきなのか見えた時の希望。

書ききれないほど、数々のシーンに涙が止まりませんでした。

呉の話は聞いていたものの、やはり戦争の話となれば原爆と東京大空襲の話。よくここまで詳細な記録を丁寧に集めたなあと感心しました。
欄外に書いてある情報も、今後きちんと読んでいきたいと思います。
また、戦中の野草などの貧しい食事事情、戦意を高揚させるスローガンや、燃料など生活物資の話をうまく取り入れたもの。
・・・名作と思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-06-14 13:33:22] [修正:2011-06-14 13:33:22]

この世界の片隅にと同じ作者の漫画

こうの史代の情報をもっと見る

同年代の漫画

漫画アクションの情報をもっと見る