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5.5点(レビュー数:4人)

作者新川直司

原作辻村深月

巻数4巻 (完結)

連載誌月刊少年マガジン:2007年~ / 講談社

更新時刻 2009-11-25 00:45:34

あらすじ 受験を控えた高3の冬、雪の中集まった8人の生徒たちは、無人の校舎に閉じ込められる。深月のクラスの学級委員達8人以外通学しておらず、どこの教室も職員室もがらんと空いていたため、担任の榊が、休校の連絡ミスをしたのかと生徒達は最初のんびり構えていたが、学校から出られないことがわかり、彼らは焦りはじめる。

そして彼らは、学園祭で自殺したクラスメイトの名を、彼らがどうしても思い出せないことに気付く。自殺したクラスメイトがこの状況に関わっているのか。この8人のうち、実は一人死んでいるのでは…? 疑心暗鬼はどんどんふくらみ、彼らは追いつめられていく。

迫る5時53分の恐怖と戦いつつも、過去の闇に立ち向かい、彼らは文化祭で自殺したクラスメートの名を探し続ける。(wikipediaより)

備考 同名のサスペンス小説を漫画化した物。
単行本はKCDXから発売。

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この漫画のレビュー

5点 とろっちさん

原作者の作品はいくつか読んだことがあるという程度で、これは未読。 理由はbooさんと同じです。
なので原作との比較はできませんが、ここは漫画レビューサイトということで、あくまでこの漫画を
読んだ感想を書いてみます。

決して割れないガラス、びくともしないドア、どこにも繋がらない電話、無人の校舎、
自殺のあった時刻である午後5時53分で止まってしまった時計。
理解を超えた事態に戸惑う彼らに静かに迫る悪意……。
ストーリーをすごく大まかにまとめると、無人の校舎から出られなくなった仲良し8人の生徒が
自殺したクラスメートの名と顔が自分たちの記憶から消されていることに気付き、この中の1人が実は
死んでいるのではと互いに疑心暗鬼になる中、1人また1人といなくなっていく…、というもの。

クローズド・サークルっぽい舞台や1人ずついなくなる展開から、「そして誰もいなくなった」的な
話っぽくも思えますが、この話のメインは「忘れていたことを思い出す」ということ。
非現実的な世界でそこのルールに則りながら、緊迫した心理戦が繰り広げられていきます。
とともに、「自分たちが巻き込まれたのはなぜか」、「自分たちにも関係があるのでは」という観点から
「その人物がなぜ自殺したのか」という動機の面をも追いかけていくことになります。

この作品、原作はミステリー小説なのかもしれないですが、少なくとも漫画版は違うと思います。
というのも、主人公を含めた登場人物は真実の解明のためにいろいろと推理していくものの、
結局は謎を解いたわけではなく、ただ単に思い出しただけ。
思い出すにしても論理性や何らかのきっかけがあるわけでもなく、思い出した者勝ちという感じ。
その点で、よくあるミステリーのように主人公(=読者)が自らの知恵と推理で謎を解明した、
というようなカタルシスには乏しくなっています。、

原作の長編小説は、恐らくはそのページの多くを登場人物の掘り下げに費やしているのでしょう。
漫画版でもそれなりに多くのページが割かれてはいますが、やはり元のページ数に差がある分
どうしても人物の掘り下げも中途半端なものになってしまっている感があります。
ミステリー部分で物足りなかった点をその辺りで補ってほしかったですね。
作画担当はジュヴナイル的な作品が滅法上手い印象ですが、初期の作品だからかその点もいま一つ。
その分、それぞれの登場人物の追い詰められ方がホラーじみていてなかなか面白く読めましたが、
これは本来の原作の楽しみ方に適合しているのか甚だ疑問。 まあ面白けりゃいいですが。

で、漫画の雰囲気は良いと思うんですが、全体的に出来が良い作品とは言い難いです。
悪い作品ではないんだけどな、という感じ。

最後にちょっと思ったことを一つだけ。
この作品のヒロインには原作者の名前が付いていますが、これが違和感ありまくり。
有栖川とか法月みたいに主人公となって自ら作品を動かしていくのならまだしも、殊に受動的な
ヒロインなので、変な先入観ばかりが頭に残ってしまって作品としてのメリットが感じられないです。
まあこの辺りは原作小説が出た時点で議論し尽くされていると思うのでこのぐらいにしておきます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-11-05 01:22:16] [修正:2011-11-05 01:22:16]

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