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7.8点(レビュー数:5人)

作者嶺岸信明

原作土屋ガロン

巻数8巻 (完結)

連載誌漫画アクション:1997年~ / 双葉社

更新時刻 2010-03-28 00:22:29

あらすじ 謎の軟禁施設7.5階に10年間幽閉された男が、見えざる敵を追う!! 『ボーダー』『ハード&ルーズ』の原作者・狩撫麻礼が新たなペンネーム・土屋ガロン名義で挑んだ超ディープな物語を、『天牌』の嶺岸信明が心血を注いで描ききった復讐劇!!

備考 2003年に韓国で映画化され、第57回カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリ、第37回シッチェス・カタロニア国際映画祭でグランプリを受賞した。2007年、原作の漫画がアイズナー賞最優秀日本作品部門を受賞した。 

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この漫画のレビュー

8点 hayakawaさん

カイジを始めとした福本信行作品が好きな方はかなり楽しめる名作。いわゆる中2病を地で行くストーリー展開は見る者を選ぶかもしれないが、ツボにはまったものは病みつきになって抜け出せなくなる面白さがある。
 以下多少ネタばれを含みます↓

 とあるビルに10年軟禁された主人公が解放されてから物語が始まり、犯人を探していくサイコサスペンスであり、後半は犯人探しから犯人の特定に物語はシフトしていく。どこか影があり、近寄りがたい雰囲気を醸し出す主人公であるが、決して悪人ではなく、むしろ親しい間からは好感をもたれている。そのような人間がなぜ10年も軟禁されてしまったのか?必死で過去の交友関係や出来事を考察していくが全く心当たりがなく、とほうに暮れているところに物語のカギを握る人物が現れ…。

 物語は主に2部構成に分けられており(実際に1部、2部と分けられているわけではないがストーリー展開的には)、1部は上にも書いたが犯人探しのストーリーであり、2部は犯人を特定していくストーリーとなり、当作品は2部からが真骨頂である。ストーリーが進むにつれて主人公が自身の内面について振り返っていくのだが、自身の行動の深層心理に潜む偽善に触れていくにつれて徐々に冷静さを失っていく。

 当作品の魅力は独創的な設定もさることながら、キャラクターの魅力に見出すことができるであろう。影のあるクールな主人公は最高にセクシーであり、犯人も危険なにおいをさらけ出す策士的な存在である。この二人と中盤のカギとなる小学時代の恩師も独自の色を出して作品に重みを出させている。

 ただ、終盤からラストにかけての失速感は否めず、ラストの主人公と犯人の決着もあっけなく終わってしまい、その点が?1点。ラストも敢えて伏線を回収せずに終了したのか、あえて余韻を残すために回収しなかったのかが微妙なところであり、個人的には打ち切りのため無理やり終わらせたものと感じた。しかし、名作であることには変わりはなく、現代の漫画にはない渋さがあるためオススメである。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-02-21 21:22:57] [修正:2011-02-21 21:25:18]

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