この漫画のレビュー
5点 臼井健士さん
浦沢先生の「MOSTER」に次ぐ作品。近年に実写映画化もされた。
60年代を過ごした子供たちが大人になり現実の壁にぶつかり苦しんでいた90年代。
幼い頃の空想の世界の滅亡と立ち向かう仲間たち。
が、その空想の世界を滅ぼそうとする悪の首謀者は「自分たちの仲間の中から出てきた」
集団となり組織化された宗教集団は政界・財界をも巻き込み日本政府の中枢にまで食い込む。
主人公を中心としたかつての秘密基地の仲間たちは冴えない大人の日常を捨てて結集する。
だが、敵の策略によりメンバーは極悪人のレッテルを張られて四散。
近未来は世界を滅亡させようとした男が「人類の救世主」として祭り上げられる偽りの世界が構築される。
子供の頃は様々な夢を描きながらも、大人になったとき現実の壁の前に飲み込まれ、どうしようもなく日々を重ねていたかつての少年・少女たちが
「自分たちの播いた種」を刈り取らねばならなくなる。
そのとき彼等は多くの犠牲を払いながらも人類の滅亡を救う真の救世主として生まれ変わることになるのだ・・・・・・。
だが・・・・そうなった後に彼等は本当にこの結末を望んだだろうかと考える。
「否」。
自分たちが歴史の教科書に勇者として記されるよりも、たとえ冴えないサラリーマン生活であったとしても、平和で穏やかな日常を選んでいたことだろう。
夢を描いていた少年時代から大人になったとき、後悔の連なりかもしれない。
だが、それでも彼等の戦いの軌跡を目にすることで人類は再出発のラインに着いた。
終盤のグダグダと「後付けしたかのような」ともだちの正体が残念なのだが、引き込む力は流石だ。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-07-25 08:18:48] [修正:2021-07-18 22:58:07]