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5.63点(レビュー数:22人)

作者PEACH-PIT

巻数8巻 (完結)

連載誌月刊コミックバーズ:2002年~ / 幻冬社

更新時刻 2010-08-15 12:18:16

あらすじ 引きこもりの日々を過ごす中学生の少年・桜田ジュン。鬱屈した性格の彼は、ネット通販で買った商品を期限ギリギリでクーリングオフしてスリルを楽しんでいた。 ある日、彼は怪しげなダイレクトメールを受け取る。そこに書かれた、「まきますか まきませんか」との問いに、軽い気持ちで応えてしまう。すると翌日、薔薇の装飾金具の付いた重厚な革製の鞄が送り付けられて来た。鞄を開けると、中にはまるで生きているかのように精巧に作られたアンティークドール(少女人形)が収まっていた。興味半分にジュンが螺子を巻くと、人形は目覚め、「ローゼンメイデン第5ドール真紅」と名乗り、ジュンに対して、自分と契約して下僕となる事を要求する。 最初こそ真紅の尊大な態度に反発したジュンだったが、突如窓ガラスを割って侵入してきた人形に命を狙われ、訳も分からぬうちに真紅と止む無く契約を交わしてしまう。こうして、真紅に関わる事により薔薇乙女達の争いに巻き込まれてしまったジュンは、様々なドール達やその関係者達との出会いを通じて、その心を成長させていく事になる。

備考 2007年に連載が突然終了。その後、週刊ヤングジャンプ(集英社)へ移籍、2008年4月より『ローゼンメイデン』とタイトルを変更の上、月一回で連載中。また、それに伴い集英社から新装版としての単行本が発売された(全7巻)。

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この漫画のレビュー

[ネタバレあり]

私が『ローゼンメイデン』をいいと言うのは、「モノがモノでない」ということなんだよ。
「人形が動くわけがない」っていうのは正しい見識だよな。でも本当にそうであれば、こんなに人気が出るはずがないのな。

ジュンは何もしない現代の象徴的な人間であり、ひきこもりじゃない。家族の愛情さえ受け付けない意固地な孤立した存在だよな。いつまでもウジウジと殻に閉じこもっていたわけじゃない。
そういう「人間が人間ではない」という状況がまずあったわけ。
そこに「人間ではない物質が動く」という挿入があったんだよ。この構造が物語の骨子なのな。
まあ、私なんかは人形について特別な思いいれもあるから。人形という物が人の形をなぞることで生命を得ることを知っているからな。だから一層分かるんだと思うよ。

でも人形の文化を研究すれば、古代から人間が「物が物でない」ということを感じていたことがわかるんだよ。物質を貫通するエネルギーを感知して理解していたんだな。
だから物質をある形にすることで、貫通するエネルギーを利用できることを知ったんだな。
日本刀って人を斬るための道具だよなぁ。でもそういう存在とするために、様々な研究と努力があったわけだよ。そうして「人斬り包丁」としてのエネルギーを貫通させて日本刀というものが完成されたの。

こういう言い方をするとわかるだろ?
でも全部の物質がそうなんだって。その実存を為すエネルギーが貫通している、ということ。
その観念が『ローゼンメイデン』では命のある人形として在るわけ。
日本刀を為したように、命のある人形を作る術を完成させた「お父様」と呼ばれる存在を創造したんだな。それは日本刀と同じ延長線上にある創造なんだよ。そういう「物の実存」を表現した物語なんだよな。
もちろんそこにゴスロリなどの魅力ある要素なんかを盛り込んでもいるよ。でもそれはあくまでも装飾の魅力だからな。そこじゃないんだよ、売れる本質は。

で、ジュンが動き出すのは何がそうさせたのか、ということだ。
それは人形たちが「闘う者」だったからなんだよ。姉妹で殺し合わなければならない宿命だよ。つまり、最も人間的な要素である「闘い」というものによって、物語が躍動することになったんだな。

闘う存在だからこそ、彼女らの友情も悲しみも非常に美しくなるわけ。
もしもあれがただの愛玩の人形が喋った、なんてことだったら、そんなもの全然人気なんか出ないんだ。闘わねばならぬ、という人間に普遍のものがあったからなんだよな。人間はいつだって闘わねばならないんだから。運命とな。
その宿命が貫通したからこそ、キャラが非常に魅力あるものとなっているわけ。
まあ、言い換えれば、あのジュンという存在は現代人に通ずるものがあるからな。理屈で何でも自分の都合よく解釈したがる、というな。そして自分は何もやらない、という。
そういう存在が闘う者によって躍動を始めるから面白い、ということだな。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-08-09 22:25:18] [修正:2018-08-09 22:25:18]

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