ホーム > 不明 > DC Comics > バットマン:マッドラブ/ハーレイ&アイビー

8点(レビュー数:2人)

作者ティム・ブルース

原作ポール・ディニ

巻数1巻 (完結)

連載誌DC Comics:1994年~ / 小学館集英社プロダクション

更新時刻 2011-09-19 13:35:57

あらすじ ジョーカーに振り向いてもらいたい一心でどんな犯罪でもやってのける、ハーレイの健気で一途で狂った恋を描いたオリジンストーリー『マッドラブ』。その続編として、コンビを組んだハーレイとアイビーがゴッサム、中南米、はたまたハリウッドで大暴れする『ハーレイ&アイビー』

備考 2000年に邦訳された「バットマン:マッドラブ」に、「バットマン:ハーレイ&アイビー」を合本化しての復刊。
表題作のみの合本で、原本に同時収録されていた作品はこちらには収録されていない。

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この漫画のレビュー

8点 booさん

 バットマン・アニメイテッドシリーズの傑作を二つ合本化したもの。バットマンに限らず日本ではあんまり紹介されている印象のないカートゥーンの魅力がたっぷりで、読んでいてとっても楽しい。ブルース・ティムの躍動感に溢れたアートはもちろん、「お約束」に守られた安心できる世界観は普段触れているバットマンのダークな色調とは全く違う。ほら、ドラえもんではのび太がいくら秘密道具を使って調子に乗っても最後はきっちり懲らしめられるでしょ。このシリーズではいくらジョーカーやトゥーフェイス等のヴィランが暴れまわっても、彼らの企みはバットマンによってきっちり防がれ、アーカムに送り込まれる。しかし何度アーカムに送り込まれようが、彼らは繰り返し脱獄し、バットマンと対峙するのだ。そんな箱庭的世界観は何とも言えない心地よさ。

 「マッドラブ」
 ジョーカーの愛人であり時に用心棒的な役割もこなすハーレイ・クインゼルのオリジン話。普通に考えたらけっこうひどい話だぜこれ。だってジョーカーに利用されるだけ利用されては何にも報いられずひどい扱いを受けて、それでもジョーカーを愛しちゃってるのがハーレイって女なのだ。まさにマッドなラブ。でもそんな女性は恐らく現実にもいるわけで…。そんな悲惨なハーレイを描ききった上で、とことん笑える活劇に仕上げてしまうのがポール・ディニの矜持なんだろう。すごいぞポール・ディニ!

 「ハーレイ&アイビー」
 ハーレイと植物を操るポイズン・アイビーのタッグを描いた快作。バットマン版「テルマ&ルイーズ」といった趣き。テルマ&ルイーズが男社会に抑圧されていた二人の女性が男共に反抗ののろしを上げる最高に爽快で、でも物悲しい映画だったように、ハーレイ&アイビーもとにかく好き放題暴れまわる。ジョーカーも、バットマンさえも歯牙にもかけない二人の冒険はすんばらしく気持ちよい。そしてハーレイとアイビーの友情にはほろっとね。この二人の間に男なんて入る余地はないのだ!

 で、この合本が気に入ったので読んでみたのが「Batman: Mad Love and Other Stories」。マッドラブに加えて9本の短編が収録されている。

 マッドラブほど抜きん出てはないものの、粒の揃った楽しめる短編が揃っている。ポール・ディニのフリークへの視線は悲しくも優しい。心が少しだけ狂ってしまった彼らは、否応なしにそういう風にしか生きられず、周りに理解されることもない。そんな切ないフリーク達を描き出すポール・ディニの目線は、ティム・バートンのそれと似通っている。せっかくアーカムを出所したのにも関わらず悪い女に利用されてしまう腹話術師や、男を拷問していたスケアクロウの哀れな人助けをバットマンが語る話なんて涙腺が…。特に整形によって傷のない顔に戻って出所したトゥーフェイスの恋愛とその悲劇的な顛末を描いた掌編は涙がちょちょぎれる。
 もちろんバットマンとヴィランたちが立ち回る活劇たっぷりなお話だって魅力的。ロキシーやバットガール、クレイフェイス、エトリガンなどあまり邦訳だけでは馴染みの薄いキャラクターたちが活躍するだけでも目新しくてとっても楽しい。バットガールがデパートの試着室であわててコスチュームに着替える場面なんて可愛いよね笑。

 英語はかなり簡単な部類だと思うので、合本の方を気に入った方はこちらもおすすめ。あんまり邦訳の売り上げよろしくないそうなのは本当に意外だよなぁ…。こんなに愉快なコミックは中々ないよ!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-09-26 21:35:20] [修正:2012-09-26 21:35:20]

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