あらすじ
「ぼくのすんでいるところは 山と海しかないしずかな町で―はしに行くとどんどん貧乏になる。そのいちばんはしっこが ぼくの家だ―」。
腹違いの兄、一太。突然現れた、美しくてやさしい年の離れた姉、神子(かのこ)。そして「ぼく」、二太。
クスリを売る。体を売る。金を貸す。とりたてる。この町の多くの大人たちは、そんなふうにして生きている。
神子ねえちゃんは言う。「泣いたらハラがふくれるかあ。泣いてるヒマがあったら、笑ええ!!」。ヤク中の父を亡くしたばかりの少女は、うまく泣くことさえできずに、不思議そうにこう言う。「息するたびにな、ノドの奥に小石みたいのがたまるんよ。食い物の味わからへん」。むき出しの現実を見ながら、幼い心にいくつもの決意を刻んで「ぼく」は成長していく。
この漫画のレビュー
7点 勾玉さん
一話一話がたった2ページと短く、単独では大したことの無い話も多い。
しかし読み進めていくうちに、絵日記のように淡々と綴られていく
暴力的で、下品で、非道徳的な日常の数々が、
そこに生きる人々の力強さや逞しさ、そして儚さを惹きたてていて
段々と自分の中で鮮烈な印象として残っていった。
そしてラスト。
二太の最後の台詞で、姉ちゃんの言葉が思い起こされる
「泣いたら腹が膨れるかあ。泣いてる暇があったら笑ええっ!!。」
最後に見せる二太の笑顔は
とても切なくそれでいて晴れ晴れとしていて、感慨深い。
好みの分かれる漫画なのは確かだけど、一読に値する作品だと思う。
読むなら、カラー版がおすすめ
白黒の方は味気無くて、心に残りにくい気がする。
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[投稿:2012-05-28 22:07:51] [修正:2012-11-10 22:46:36]