BANANA FISH
作者:吉田秋生
雑誌:ベツコミ
レビュー全文
10点
:臼井健士さん
ハリウッドの大作アクション映画にも対抗できるスケールの大きさと臨場感を持つ日本最高の少女漫画(そんなジャンルわけすらも馬鹿げてはいるが)のひとつ。
「バナナ・フィッシュ」という国家機密を追うマフィアとCIA。
ストリート・キッズのリーダー「アッシュ」の天才であるが故の悲劇。日本人少年・英二との究極の友情。
脇を固める魅力的なキャラたち。
シン・ブランカ・ケインの男気。
月龍の歪んだ愛情への渇望。悪役のディノでさえも愛すべきキャラクターだった。
ちなみに自分は大学時代の教育実習で母校の中学で1年生3クラスに国語を教えたのだが、そのとき生徒たちにこの漫画が「面白くて、勉強にもなる」と勧めたら、半年後の運動会で学校に来たときに教えたクラスのほとんどの生徒がこの漫画を読んでいた。みな「面白かった」と口を揃えた。ちょうど内容を理解できるであろう(と思われる)最低限年齢で出会えたことは良かったのではないかと思う。
本編が終了した後の番外編「光の庭」がとても良かったですね。
正に「鎮魂と再生の物語」でした。
本編における激しい戦いの後だからこそ、あの「静けさ」が全ての傷付いた者たちを癒す意味で際立つのです。暁は「YASYA」でシンの嫁になっています。でもまさか中国の初代大統領の妻になるだろうとは思っていなかったことでしょう。シンもアッシュと出会って大きく成長することが出来たという意味で、良い出会いだったのではないかと思います。最初はショーターのことがあって素直に友好関係を結べませんでしたが、元々シンはアッシュのことを「偉大な存在」というか「男としての目標」と捉えていた部分が大きいので、シンの人の良さもあって憎むことは出来ませんでした。
「光の庭」ではアッシュの写真に「夜明け」というタイトルが付けられていました。
全ての人に「夜明け」が来たのです・・・・・良かった・・・・・・・・。
[ 2010-12-04 09:15:21]
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