太陽の黙示録
作者:かわぐちかいじ
雑誌:ビッグコミック
レビュー全文
5点
:DEIMOSさん
大震災によって日本が東西分裂した近未来の政治を描いた群像劇。
全体を通しての感想は、「無味乾燥」。震災で東西分裂、という設定自体はぶっ飛んでいてインパクトに溢れるが、その中で活躍する人間たちは極めて現実的。柳や宗像等、ある種のカリスマ性を付与したキャラクターが何人か出てくるが、ヒーローたり得るには能力が突き抜けていない。メタンハイドレート、日米中外交等、現実世界でも話題となる政治テーマを正面から描いている部分はリアリティがあって面白いのだが、裏を返せば、ワクワクドキドキする新鮮味に欠く切り口とも言える。
また、決定的な欠陥は、物語の主張がはっきりしないこと。親米か親中か、格差容認か格差拡大反対か、自由か平等か、善悪東西2項対立を提示しながら、この漫画は答えを与えない。あくまで空想の箱庭の出来事を淡々と見せていく。よって、頭の良くない大多数の読者からすれば、「で、結局どうすればいいんだよ」となってフラストレーションが溜まってしまう。キーチ、サンクチュアリ、デストロイ&レボリューションのような世直し漫画の方が痛快さを与えてくれる。
かわぐちかいじ作品全般では、非現実世界の中で政治や世の中の仕組みをリアルに描き出す。そのリアルの良し悪しということだろう。絵は完成形なので、文句はない。
[ 2013-04-07 20:08:41]
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