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放浪息子
作者:志村貴子

雑誌:コミックビーム

 レビュー全文  

7点  :shunさん 

女装が気になる男の子と、女性化を拒む女の子が主体の物語。
思春期の多感な時期と、淡い友情や性の目覚め、異性意識など、
端的に言葉で表せない事柄たちを、主人公二人を通して味わった気持ちになれる。
男性の中にある女性への(異性としてではない)あこがれに触れ、共感を覚え。
女性の中にある女性化していく身体への拒否反応を、感覚的にわかった気持ちになった。

画は終始安定しており、作者の持つ個性で十分に世界観は保たれている。
この物語を表現するに当たり、かなり適した絵柄だと感じる。

物語に起伏はあまりなく、登場人物の心理状況を考えなければ、かなり退屈な漫画だと思う。
しかし、無意識下の「単純に異性が好き」という普通の群衆の中でこそ、それ以外の存在の異質さは現れない。
異質な主人公たちを、そういう人達もいて当然じゃないか、と意識誘導されていることに
読んでいる間は気づかなかった。
とくに差別意識があるわけではないが、「何とも思わない」というニュートラルな姿勢を、
実際に身近に「そういう人たち」がいたら演じきれるかどうか・・・演じる?と考えさせられた。

ゲイ・レズといった扱いではなく、心理的に女性寄りという主人公で、
生々しい部分は全くないきれいな世界なので、嫌悪感もなく受け入れることが出きた。
主人公たちが成長していく様を見守れるのも面白さの一つとなっている。

女装男子をいち早く扱った作品として、ブーム(?)の下地にもなったかもしれない。
[ 2015-02-04 14:03:07]
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