ほしい漫画が見つかるサイト・漫画レビュー.comへようこそ

部屋においでよ
作者:原秀則

雑誌:週刊ヤングサンデー

 レビュー全文  

8点  :スワンさん 

ネタばれ、激しいんで注意です!

この作者の作品の特徴のひとつに、登場人物がとても人間くさいという事があります。
それは、誰にでもありうる妬みや突然の心変わり等が描かれているという事なのですが…。本来、マンガ(それ以外でも物語作品)の文法上それら心情の理由を描き説明するのが正しいのでしょうが、この作者はそれを必要以上にしません。
その事が読者に「あぁ、現実ってこんなだよなぁ…」という何とも言い難い、実社会で他人の人生の一部を垣間見たような感情を抱かせていると思います。わかりやすい善人、悪人で描かない事も影響していると思います。

そんな作品群の中で今作は特に「ある人間の人生の一部感」が強いと思います。

よくある「好きなあの娘と付き合うまで」的なラブストーリーや「ひたすら真っ直ぐ努力して成功を掴むまで」等に、飽きてきた方にはお勧めです。


ひとりの女性との出会いから別れまでを描いた作品なのですが、その経緯が秀逸です。
まき起こる出来事はドラマティックでも、キャラクターの行動や心情変化はもどかしい程に現実的です。

作中の主人公(カメラマン)の写真作品も説得力があります。


ラストシーンは、一度でも引越し(引き払い)を経験した事のある方なら、胸が詰まると思います。モノが搬出されガランとした部屋にこそ、ストーリーが詰まっている。こんな見せ方、スゴイと思いました。
大団円にはない、これからも人生は続いてゆく感じがなぜか切ないです。

大人によんで欲しい作品です。





[ 2007-10-01 14:16:23]
  スワンさんのページへ
 この漫画のTOPへ
このページの上に戻る
[家]ホーム
 ランキング
 漫画を検索
[MAIL]お問い合わせ
漫画レビュー.com