サンクチュアリ
作者:池上遼一
雑誌:ビッグコミックスペリオール
レビュー全文
7点
:ヒョウマさん
機能的な面から見れば、自己の信念を貫く政治の裏側には、裏社会(ヤクザ)からの利益供与があるという現代社会に存在する闇の装置を描き、情緒的な面から見れば、男として社会での大義に身を投じていくという生き方を描いた作品。
若さ故の清廉潔白さで日本の改革を決意し政治の世界に身を投じながらも、自己実現を図る過程で、清廉の対極にある裏社会との関係を持たざるを得ない政治家としての自己矛盾が描かれている。
優秀な政治家とそれを支える裏の権力者という2人組の体制は主人公らだけではなく随所に描かれており、その2人の結びつきの堅牢さは別として社会改革の一装置として存在していることには、なるほどと思った。
物語後半で登場する首相公選制の導入と国民投票など、1996年時点としては先見の明であり、2013年現在の政治と比較しても某政党の風は止んでしまったものの、具体的かつインパクトのある政策を主張して日本の改革を志す政治家の出現を予期する作品としても面白く読むことができた。
漫画全体を通して考えれば、自己の信念に基づき構想を描き、忍耐強く実行することで初めて、自分の城が築かれるという男の生き方の真理が書かれている。
個人レベルで言えば、この真理でもある権利を自己として行使するか、しないかという生き方に対する選択肢をつきつけられた作品であった。
[ 2013-09-15 07:15:15]
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