神々の山嶺
作者:谷口ジロー
雑誌:ビジネスジャンプ
レビュー全文
8点
:とろっちさん
エベレスト初登頂に挑んだ登山家マロリーの残した謎をめぐるミステリーを絡ませながら、
一人の不器用な男の生きる様を力強く描いた作品です。
夢枕獏氏の原作小説が秀逸なのは言うまでもないですが、
この作品が漫画として素晴らしいのは、やはり谷口ジロー氏の圧倒的な描写力。
言葉が拙くて申し訳ないですが、何と言うか、「山が凄まじい」。
圧倒的な山の量感と、それに挑む人間という存在の小ささ。
周囲には他の動物はおろか、鳥や虫の姿もなく、草すら生えない、生物が生存し得ない場所。
岩と雪の世界。 押し潰されそうなほどの孤独感。
山に挑むとは、すなわち 「地上から神々の世界へ足を踏み入れる」 ことなのだと。
グランドジョラスでの鬼気迫るような描写が圧巻です。
落下するときのコマ送りの感覚。
寒さと眠さで意識が朦朧となる感覚。
襲い掛かる幻覚、幻聴。 聞こえるのは風の音と自分の呼吸音のみ。
死にたくない。
そして生きてもいいという権利を自分の手で掴み取る瞬間。
生と死とを分ける瞬間。
「神がとか幸運がとは言わない。 このおれがその権利を手に入れたのだ」
読んだ後に知ったのですが、グランドジョラスの話がほぼノンフィクションであることに驚愕。
[ 2010-08-09 21:48:02]
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