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ドラえもん
作者:藤子・F・不二雄

雑誌:月刊コロコロコミック

 レビュー全文  

10点  :とろっちさん 

今や日本で漫画やアニメでドラえもんを全く見ずに育った人なんてほとんどいないのではなかろうか。
ポケットの中には夢があり、机の引き出しの中には未来があって、
のび太のアホさに笑い、のび太のずる賢さに感心し、のび太の優しさに心温まり、
のび太の勇気に心震わせる。
ドラえもんの話に泣き、笑い、ドキドキワクワクしながら読んでいたあの頃。

大人になると幼稚な漫画の代名詞のごとくバカにする人もいて、考え方は人それぞれなので
仕方ないですけど、個人的にはそういう固定観念で見てしまうのはもったいないなと思います。
「子供向け」なんて言うとマイナスのイメージすら感じてしまうかもしれないですが、
これはF先生が「子供にも伝わるように」わかりやすく且つ面白く描いた作品。
今でも「子供向け」のフィルターを外して読み返してみると、内容の秀逸さ、テーマの深さ、
構成の巧みさ、ギャグの面白さ、先見性の確かさ、といったものに脱帽してしまいます。

同じような効果を持つ道具が多数登場してツッコミの材料にされていますが、それも致し方ないかなと。
話自体は全く別の内容でも、以前出した道具をもう一度出せば、「この道具は前も見た」というように
飽きっぽい子供にそっぽを向かれてしまうかもしれないですからね。
現実世界でも違う商品なのに同じような用途のものって幾らでもありますし。

F先生は「異色短編集」等で大人向けの秀逸ブラックな短編を描いていますが、ドラえもんもそれらと
同じレベルの話を子供にも理解できるように易しく説いているだけで、基本的にベースは同じです。
違うところといえば、「ブラックな部分」を控えめにして(でもそれでもかなり含まれていますが)、
子供のために「優しさ」と「教訓」という隠しエッセンスが多めに盛り込まれている点。
話のほとんどが、のび太が悪さをしたときはちゃんと懲らしめられ、逆にのび太がその持ち前の
優しさを以て行動したときにはちゃんとハッピーエンドの展開で終わるように作られています。

ドラえもんが自分の家にも来ないかなーなんて思いながらのび太を羨ましがり、のび太と共に育ち、
気が付けばいつの間にかのび太の年齢を超えてしまい……。
個人差こそあれ、誰もがある一定の年齢になると「ドラえもん」を卒業していきます。
ここでその人にとってのこの漫画の役目はとりあえず終わるのでしょう。
ただ、ドラえもんやのび太と共に感じたドキドキワクワクまでも失くしてしまいたくはないですね。

大人になっても大人になり切れないのも問題ですが、ドラえもんを楽しめるぐらいの
心の余裕と子供心は持っていたいなとつくづく思います。
[ 2011-11-28 01:09:01]
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