カムイ伝(第一部)
作者:白土三平
雑誌:ガロ
レビュー全文
10点
:朔太さん
漫画が文化の一つとは誰も認めなかった時代に、白土三平の
孤独な試行錯誤がありました。
50年以上の月日が経って、サブカルチャーとしての漫画が
確立された今、同じ視線で評価を与えることは難しいです。
彼らの時代背景を考えれば、娯楽としての作品作りを
目指していたはずであり、決して高尚な歴史小説まがいの
作品を志向していたはずもないでしょう。
商業的な成功を目指していたはずであり、雑誌の廃刊を
最も恐れながらの活動であったはずです。
にもかかわらず、社会の底辺にある問題提議や深淵な
人間の営みの不可思議さ、いわば曼荼羅模様の世界感を
表現し、品格ある文学作品に仕上げています。
壮大な大陸の開拓者でありながら、先駆的な求道者を
連想させる作者に頭が下がる思いです。
数百年後の今に残る商業的絵画が人類の資産と呼ばれる
ように、カムイ伝もまた後世で同様な評価を得るように
なるように思います。
[ 2017-11-07 18:01:01]
朔太さんのページへ
この漫画のTOPへ
▲このページの上に戻る
[家]ホーム
ランキング
漫画を検索
[MAIL]お問い合わせ
漫画レビュー.com