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男坂
作者:車田正美

雑誌:週刊プレイボーイ

 レビュー全文  

4点  :FSSさん 

車田ファンの自分としても、この作品はさすがにフォローし辛い。

通説では「登場人物が多くなりすぎて収拾が付かなくなった」事が原因と言われているが、そんな事より最大の問題点は、主人公たちの「言っている事とやっている事」にあまりにもギャップがあり過ぎて、さすがに読者が呆れたという事が原因だろう。

と言うか、チ○毛も生え揃ってない、自分で働いて金を稼いでもいない中学生のガキ共に「オレはいずれ日本のドンになる」とか、「人の上に立つ人間のタイプを知っているか」とか言われたところで、「はいはい」としか言い様が無いだろう。しかも、やっている事がひたすら「ケンカ」ときた日には、もう笑うしかない。たぶん大半の読者の突っ込みも「ケンカも良いけど、まず義務教育を卒業しようね」だったはずだ(笑)。実際、作中での「ドン」は明らかに「番長」レベルの話ではなく、将来を見越したもっと大きい意味での「権力者」的なニュアンスで使われていたから滑稽感はなおさらだ。

純粋に格闘漫画として見ても、本来、出し惜しみすべき「ボスキャラ」であるはずの各国の「ドン」を、最初から全員顔出ししてしまったというのも大きなマイナス要因(しかも全員ショボイやっつけデザイン)。

また主人公にケンカの秘訣を教えるためだけに出てきた「喧嘩鬼」もご都合主義以前に意味不明な存在。教えてる事も「相手から目をそらすな」とか「敵の攻撃は紙一重でよけろ」とか、当たり前な心得ばかり。おまけに特訓期間はわずか十日間だけ(笑)。それで一気に仁義が強くなり、人間的にもデカくなるというのはあまりにも杜撰だろう。戦闘力なんてよほど実戦経験を積まなくては身につかないものだし、まして人間的な成長はそれ以上に長い人生経験を必要とするもののはずだ。そしてそんな仁義を一目見ただけで各地の硬派(笑)が会ったその日に軍門に下るという展開のご都合主義。この辺のいい加減な展開のせいでより人物像が薄っぺらくなっていったのだろう。

終了間際の怒涛のやっつけ展開と、ラストの「未完」の文字はもはや伝説。違う意味で楽しめる漫画ではあるが…。
[ 2008-02-03 16:54:21]
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