猟奇王
作者:川崎ゆきお
雑誌:ガロ
レビュー全文
9点
:夜、テレスドン。さん
川崎ゆきおと言えば、まずその絵の下手さに意識がいくだろう。
単行本「悪いやつほどよく走る」の蛭子能収の後書きによれば川崎ゆきおは
「ひざの上にイラストボードや製図版を乗せて背もたれで、そり身でバランスをとって描いている」そうで
そりゃあ線もヨレるわってことで、しかし、そのヨレが「世と対峙できない」という
川崎のテーマと合っていて実に・・・と言いたいがコマの中の黒が占める面積が
特に初期になればなるほど多く、繊細と言うよりは、むしろ堂々として見える。
しかし「世と対峙できない」ことを、そう堂々と下手な絵で表現してるとこが
情けなくって、そこに読んでいて惹きつけられるんだよな。
まあ下手とは書いてますが、個人的には好きな絵柄です。
長井勝一氏も、「下手なんだけど郷愁をさそう。そこに引っかかった。」
と後のインタビューで語ってます。
4ページ程度の幼少のイメージを描いたと言う短編シリーズは、直接的な暗さに、その「黒」が生きてる。暗い。
やはり根本には、とてつもなく大きな負の感情があるんだろう。つげ忠男好きらしいし。
ああ、私も猟奇王みたいに日がな茶をすすりながら最中を食いつつボヤきたい。
[ 2007-09-05 01:28:06]
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