夕凪の街 桜の国
作者:こうの史代
雑誌:漫画アクション
レビュー全文
9点
:blackbirdさん
原爆が残したものの大きさや、哀しみの連鎖が、淡々とつづられるからこそ、どんどんやるせない思いや戦争の愚かさが浮き出てきます。
人間は何をしたいのでしょうね。
普通に、ただ普通に暮らしていたはずなのに、生きて幸せをつかむことがいけない事、と思わせてしまう。
被害者なのに、まるで自分が加害者であるかのように、死ななかった事や誰も助けられなかったことを、自分でずっと責めていかなかればならないというのは、一体何なんでしょう。
原爆を使うと決めた人は、あくまでも戦争を終結するための最終手段で、その為の多少の犠牲はつきものと言い、投下後の惨状は知ってはいたかもしれない。でも亡くなった人だけでなく、生き残った人の心さえも、こんなに何十年も蝕むことは、これからも知ろうとはしないでしょう。
それにしても、原爆症に苦しむ人の話も知っているはずなのに、こんなに急激に発症して、あっという間に死んでしまうなんて。
被爆した人たちが常に怯え、発症するとなすすべもなく受け入れ、死を迎える。正に人生や世界がすべて狂わされてしまったとしか言えません。
まだ自分もだけど、日本人が知らなければいけないことがあると思いました。好き嫌いはあっても、読むべき作品。
[ 2011-05-24 18:49:50]
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