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砂時計
作者:芦原妃名子

雑誌:ベツコミ

 レビュー全文  

8点  :臼井健士さん 

まず「タイトル」がいいと思う。
「砂時計」。
「現在」「過去」そして「未来」の時間の移ろいを象徴する作品のキーワード。

全10巻(それも本編は8巻までで、残りの2巻は番外編。)で主人公が「小学生」から「1児の母親」となるまでを描いているため、時間の経過がスゲー早いんです。
両親の離婚を切っ掛けに母親の実家である島根に戻ってきた杏が好きになったのが近所の「大吾」。
相思相愛かと思われた2人の関係も、杏の母親の自殺が常に杏の心にのしかかってくることでギクシャクし始める。

自分が大吾の重荷になる・・・と思い、別れを選んだ杏。
時の流れと共に多くの恋を経験するも、どうしても大吾の事が杏の心の奥底からは離れず、いずれも破局を迎える。
(中には婚約までいったものもあった)

友人・肉親・知人、周囲の多くの人たちが「それぞれの幸せ」を見つけていく中で、未だに自分の幸せを見つけることが出来ずに
「人生という大海原を漂流するかのようにして生きる杏」。

流れてしまった時間を取り戻すことは叶わず、後悔は日々増えていくのだけれど、それでも「何かを期待して」今日も踏み出す一歩。

過去の後悔も過ちも、全ては今の自分を作っている分子だとそれぞれが理解できるようになったとき、
読者も全ての登場人物をいとおしいと思えるようになる。

そんな作品。

[ 2010-07-16 06:37:01]
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