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異界録
作者:諸星大二郎

雑誌:短編集

 レビュー全文  

6点  :まれらさん 

阿鬼と五行先生を主人公にした民話的作品と、独立した志怪小説的な作品が交互に並べられているため、あまり牧歌的にも陰惨にもなり過ぎず、心地よいバランスを保っている。以下各話寸評。
「犬土」軽い蘊蓄作品だが、アンチクライマックスの結末が却って深い余韻を残す。異世界の導入には程よいジャブになっている。(6点)
「異界録」表題作だけあって本格的な怪異談。虚実の境界をわざと曖昧にした導入から瞬く間に異世界へと話が移り変わり、まるで山海経の世界を思わせる幻想的な作品。(7点)
「妖鯉」阿鬼たちも登場するが狂言回しに止まっており、何か昔話を聞くような味わい。(5点)
「幽山秘記」性善説・性悪説や輪廻を題材にした面白い話だが、あまりにテーマが深く、その上登場人物がビッグネーム過ぎて、消化不良に陥っている感がある。長編で読みたい。(7点)
「鬼城」阿鬼と先生の出会いのエピソード。見鬼としてのデビューがいきなり殷墟という大物ぶりを発揮する阿鬼が見事。(6点)
「小人怪」寓話のような味わいだが、グロテスクにして滑稽な小人たちに妙な味がある。ストーリーとしては一番面白いかも知れない。(7点)
「魔婦」阿鬼のモテモテシリーズその1。春蘭が可愛い。(6点)
「三呆誤計」他作と打って変わったようなコメディ作品。道術ネタのドタバタギャグというのも類を見ない。(5点)
「花仙境」阿鬼のモテモテシリーズその2。(みょうがネタを引っ張っているし、本当にシリーズとの認識かも知れない。)公英が可愛い。(6点)
「毛家の怪」比較的軽い話が続いた後に来る怪談。時代設定も他と異なるようで、かなり異質な印象を受ける。(6点)
「連理樹」仏教的な題材が取り上げられるのは珍しい。ラストはやはり突き放したようなアンチクライマックス。(6点)
[ 2008-01-07 01:06:01]
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