茄子
作者:黒田硫黄
雑誌:月刊アフタヌーン
レビュー全文
10点
:hotkkさん
黒田硫黄についてはとうの昔に各界から賞賛の声が上がっているのだが、作者がどうも体調を崩して連載が滞っているらしいので、いまさらだがこのタイミングでレビューを書きたい。
この作品の素晴らしさは、なんと言っても1話1話に凝縮された人生の濃さにあると思う。アニメ映画化された自転車競技の話はもちろんだが、農業をやっている元大学教授、家が借金まみれで借金取りに追われている少女。そしてそれらを巡って登場してくる脇役の人物たち・・・etc・・・登場するどの人物もがそれぞれに事情を持ち、それがコマの裏の裏辺りにしっかりと根付いている。一つのセリフも見逃したくない、一つのコマも見逃したくない、そういった緻密な世界観が、筆で描いているという見方によってはラフなそしてダイナミックな作画で生き生きと描かれる。さしてネームが多いわけでもないのに、もしかしたら読んで疲れるという人がいるかもしれない。それほど、1コマ、1言が、大きな意味を持った作品だ。
黒田硫黄作品を初めて知ったのはコミックキューに掲載された短編「あさがお」でだったが、その当時から作画及び台詞回しは卓越しており、私にはすこぶる衝撃的であった。その後も作品を読み続けているが、私が個人的に一番好きなのはこの「茄子」である(もちろんみんな好きだけど)。
[ 2008-08-13 13:13:07]
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