ふたつのスピカ
作者:柳沼行
雑誌:コミックフラッパー
レビュー全文
8点
:臼井健士さん
乙女座のα星、通称「スピカ」は高速で回転し合う2つの星「連星」の総称。
地球から350光年は離れているという、その美しい輝きは対となる存在があってこそ生み出すことのできたものだった。
人類が本格的に宇宙へと進出しようとしていた二十一世紀初頭。
日本初の有人宇宙探査ロケット「獅子号」が打ち上げに失敗して墜落、炎上して多数の犠牲者を出すという痛ましい事故が起こる。
事故で母親を失った少女・アスミはなぜかその事故で亡くなったロケットのパイロットの1人が幽霊となって現場近辺を彷徨っているのを診付ける事ができた。
元・獅子号建設の技師だった父を持つアスミは成長するにしたがって「宇宙飛行士になりたい」という夢をより強い想いで抱く。
宇宙という未知の空間にあっては体力勝負・・・になることは素人考えでも想像が付く。それなのにアスミの身体は同級生の他の誰よりも小さいときていた。
どうみてもハンデを背負っている彼女が、宇宙学校に入学し多くの困難を持ち前の根性と努力で乗り越え、仲間たちと宇宙を目指していく。
多くの登場人物たちの心を囚われの身としているのは、やはり「獅子号墜落事故」。
このお話の数々の問題の源流を辿って行くと必ずぶつかる「物語の原点」。
だが、今も現世を彷徨う当事者であるはずの「ライオンさん」はその事について「黙して語ろうとはしなかった」・・・・・。
地球から見える星の明るさは均等ではない。
最も明るく見える星が「一等星」。二等星・三等星と明るさが落ちて、最も暗く見える星が「六等星」と振り分けられている。
本当は他のどの星よりも強い輝きを放っているかもしれないのに距離が遠いゆえに「暗い星」と思われているものが無数にある。
「六等星の少女」が「一等星の輝きを放つまでの物語」ですよ。これは。
「真の一等星」を見分ける目が切望される。
[ 2010-06-19 00:07:25]
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