タナトス〜むしけらの拳〜
作者:落合裕介
雑誌:週刊ヤングサンデー
レビュー全文
10点
:hotkkさん
今時少し珍しいくらいのまっすぐさを持った青春ボクシングマンガ。しかし、原作者は元世界チャンピオンの竹原、そして編集者も元ボクサー、作画者はボクシング好きということで、とてもリアルに、主人公がボクシングを通して成長していく様が描かれている。
主人公はケンカでは負け無しの16歳の少年、リク。家庭環境に問題があり、すさんだ生活を送っていたが、公園で出会った天才ボクサー・棚夫木に負けてしまう。初めは半ば道場破りのようにして棚夫木の所属するジムに押しかけたリクだったが、そこで出会った年上のボクサー、山本に温かい言葉をかけられ、少しずつ心を開いていく。
一方、棚夫木は脳に問題があり、アマでは負け無しだったのだがプロテストを受けることが出来ない。誰にも負けたことのないのにプロになれない棚夫木は、棚夫木の才能に目がくらんだ所属ジムの会長に乗せられ、脳に爆弾を抱えたままメキシコでプロデビューしようとする。
山本は棚夫木を心配し、棚夫木を止めようとするが、結果的にはリクが棚夫木の渡航を阻止してしまい、山本もリクもジムから出入り禁止になってしまう。
棚夫木はボクシングのプロデビューを諦めて就職する。リクたちは棚夫木の影を心に抱えながら、新しいジムを作ってプロデビューするのだが・・・
全体にセリフは少ないが、人物描写・作画が素晴らしく、私自身は、1話ごとにまるで心が洗われるような感覚に襲われた作品。ボクシングマンガにありがちな、単なる新しいライバルとの戦いではなく、主人公の力強い歩みに主眼を置いた構成に目を見張った。
この作品が連載誌ヤングサンデーの休刊により今後どうなるのかわからないが、個人的にはなんとしても構想されている結末までたどりついて欲しい作品である。
[ 2008-08-13 12:57:27]
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