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ヨコハマ買い出し紀行
作者:芦奈野ひとし

雑誌:月刊アフタヌーン

 レビュー全文  

7点  :臼井健士さん 

近未来の日本の横浜で、喫茶店を営む雇われ店長のアルファさん(女性型アンドロイド)を主人公に、
何気ない日常風景を描いた「紀行漫画」?

何と未来の日本は今よりも水面が上昇して低地は海に飲み込まれてしまっているらしい。
そのため、神奈川県の横浜も今よりずっと海岸線が後退して来ている。
女性型アンドロイドのアルファさんは外見は人間の女性と変わらない。
普通に食事だってするし、車やバイクの運転もこなすし、お風呂にだって入るし泳ぎもOK。
でも彼女は歳をとらないから、外見がずっと変わらない。

近所に住んでいる人間たちは皆、時間経過と共に年齢を重ねていく。
だけど、アルファさんたちアンドロイドはそのまま・・・・・・・・・。
それはアンドロイドと人間が同じような生活をしながらも
「別の時間軸」に生きていて、やがて決定的な別れが来ることを微かに意識させる。

おそらくは大都市であったはずの関東沿岸部も大きなビル群の描写は見られず、
人口は現在よりも大きく減少していると思われる。

作品としてのテーマは「時の流れ」だと思う。
どんなに日常が何気なく、何も起こらない1日が続いたとしても、
時間はその歩を止めることはなく、確実に流れているのだと意識される。
「その残酷さや儚さをオブラートに包み込んで」私たちに見せ付けてくれる。

とにかく「他に類を見ない作風」の独特の漫画。
メジャーな週刊誌では絶対にこういう作品は生まれなかったであろうと感じられる。
「特別な何かが起きる!」と期待して読むなかれ。
この作品は「そういう期待」を持って読む漫画に非ず。
[ 2010-06-19 00:04:09]
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