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銭ゲバ
作者:ジョージ秋山

雑誌:週刊少年サンデー

 レビュー全文  

9点  :とろっちさん 

黒い。醜い。泥臭い。だけどこれも1つの真実。
1人の男のとある信念を、見事なまでに徹底して描ききった傑作。
これを読むと、今の少年漫画が平和なものにしか見えなくなるかもしれません。
それほどに圧倒的な破壊力を秘めた作品です。

人の生命より、人の心より、銭を追い求める風太郎。
自分以外のすべてを蹴散らし、傍目から見れば大出世とも思える場所まで登りつめます。
だが、銭か貯まれば貯まるほど、彼の孤独感は増していきます。焦燥感が募っていきます。
そして彼の下した決断とは…。

「銭で買えないものはない」「銭こそが正義」という、言わば有史以来のテーマ。
しかしそれを極限まで突き詰めてみると、この作品のようにならざるを得ないということでしょうか。
痛々しく、激しく、狂おしいまでの人間の本性。
信念に純粋すぎるが故の苦悩。

作中の「人間の幸福について」の原稿用紙の上での展開に、そしてそのあと彼がとった行動に、
この物語のすべてが集約されているのかもしれません。
ラストに至るまでのあまりの凄まじさ。
ぜひ一度は読んでおきたい傑作だと思います。

編集者たちは読者である少年たちに何を伝えたかったのか。
当時の少年たちはこの作品を読んで何を感じたのか。
とりあえず、読んだあと心に何かが確実に刻み付けられることでしょう。
それが良いものかどうかはわかりませんが。
[ 2010-04-25 20:31:29]
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