ヒストリエ
作者:岩明均
雑誌:月刊アフタヌーン
レビュー全文
8点
:臼井健士さん
「寄生獣」の作者による古代ギリシャを舞台にした物語。
日本人にとってはホントに馴染みのないお話で、資料収集にしても世界観の構築にしても難しかったろうなあ・・と作者の苦労が偲ばれてしまう。
冒頭、1人の青年が生まれ故郷の町に帰ってくるところから話がスタートする。
主人公にとってはどうやら久しぶりに見る故郷らしい。さぞ懐かしさがこみ上げてくるかと思いきや・・・町はいきなり軍隊に取り囲まれていた(笑)。
このままでは町にも入れない。困り果てる主人公と同じく街に入りたい老女。
そこで、主人公は一計を案じてまんまと町の城門を開かせることに成功する。
久しぶりの我が家・・・は建物からしてなくなっていた(笑)。
主人公はかつての自身の部屋のあった場所で「物思い」に耽る。そして、ここから主人公の幼年編がスタートするのである。
かつては裕福な家のおぼっちゃまであった自分。使用人や奴隷を多く召抱え、父は町の有力者で、母は美人だがどうにも出来のいい自分よりも不出来な兄のほうを可愛がっているような素振りが時折見える。
好きな書物は読み放題。成績も抜群で、兄弟仲はいいとは言えないものの、何不自由もない生活。
いずれは学者にでもなって・・・・などと呑気に構えていた主人公の人生が父の死によって一変する。
父は父を快く思わない連中の謀略で暗殺されていたのだ。そして主人公は自身が両親の実子ではないことを知る。しかも奴隷の息子であることを!
母や兄からも見放され、商人に身を売られて故郷を離れなければならなくなる。
ここから始まる主人公の運命の流転。折しも出航した船は嵐に遭い、木の葉のように浪間を揺れ惑う。
「主人公の嵐の人生の大海原」はここに開幕のベルが鳴ったのであります。
果たして沈没するか、堪えるのか?
「さては、皆様お立ち合い」でございまする?(了)。
[ 2010-06-18 23:56:47]
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