青空エール
作者:河原和音
雑誌:別冊マーガレット
レビュー全文
5点
:booさん
少年漫画で”剛腕”を感じる作品というのはたくさんあるんだけど、まさか少女漫画でそれを感じることがあろうとは。
楽器未経験の女の子が、憧れていた強豪校のブラバン部に入って…というお話。
昨今ありえないくらいに純粋でひたむきかつ体育会系の物語。体育会系特有の縦社会的な所や理不尽な感じって実はこういうまっすぐな物語と相性がいいのかもしれない。
正直私は話に乗り切れているかというとそうでもなくて、だってもうこんなピュアさを信じられなくなってきてるから。それでもぐいぐい読まされるのは、「嘘っぽい」なんて言葉を挟む余地がないくらいの熱量と力がこの作品にはあるからだ。何という剛腕。
大介なんて男目線だとファンタジーだし、閉じこもった先輩のエピなんておいおいそれでいいのか?…と思うわけだけど、もはや突っ込めない雰囲気なほど疾走し、やりきってるのはすばらしい。不純物なんて全くない。
それにしても体育会系という言葉が最近否定的に使われることが多い中で少女漫画でこれを描いてしまうというのは何気に凄いな。だって大きく振りかぶってやちはやふるに至っては同学年とそれ以下しかいないし、野球漫画を見ててもそんなに体育会系を感じる作品はないのに。
では青空エールがちはやふるのように本質が少年漫画かといえば確実にそうではなくて、紛う事なき少女漫画だ。心理描写を文字でばんばん詰め込んでいくのは情緒がないけど、この漫画らしいひたむきさはよく伝わってくる。自分の中に深く深く没入していく。私は置いてけぼりなのだが。
つまる所20代の男が読むために作られてはいないということ。10代のまだこの作品のピュアさを信じられる年代の人や女性だからこそ大好きになれる作品なのかもしれない。それは別に悪いことではなくて、多分ある程度の年を取った男性だとあまり共感できないというだけだ。
恐らく男のレビュワーの方々の点数が高くないのは偶然ではないと思う。
[ 2011-09-25 12:23:20]
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