モテキ
作者:久保ミツロウ
雑誌:イブニング
レビュー全文
6点
:白い犬さん
各所で話題になっています。
私も連載中楽しみでした。しかし、その終わりかたに肩透かしをくらった。
あれ?こんなんで終了?みたいな。
そんな漫画が、なんでブログやら著名人の間で読み語られるかというと、出てくるキャラがいままでの漫画の型にはまっていない、自分や知り合いに思い当たる要素があるからでしょう。
美人で男に困っていないような土井亜紀も、美人ゆえに男性が勝手に『美人フィルター』をかけて近寄ってきては勝手に幻滅されて去っていくという苦い経験をかさねている。
逆に自分の女らしさに自信がなく、男が恋愛対象としてよってこないいつかちゃん。実は彼女は彼女で趣味の合う男友達にそれなりにモテている。(本人は気づいてないけど)
恋愛強者の友人島田すらも、もてない高校時代の反動で遊びまくるが、女に流される自分に嫌悪して苦しむ。
そして主人公フジは「自分は他人と比べ、すべてにおいて負けている」。その劣等感で苦しんでいる。
しかし、先に書いたように、周囲の勝っていると思われる人々も、実は必ず負けを背負っているのだ。
それに気がつかず「お前らは勝ち組だろ、いいよな」と不貞腐れるフジ。(不貞腐れるのって実は周囲をけっこう傷つけてるんですけど…)
その中で最強にして最凶のモンスターが小宮山夏樹だ。
フジは彼女を理解できない。あたりまえだ。
彼女は勝ち負けすらどーでもいいのだ。
やがてフジは小宮山夏樹を通して他者と比べて負けていたではなく、自分の作り出した自分に負けていたと気がつく。
そして他者は冷たく暖かく自分と関わっていてくれたことを悟り、「今の俺に」たどりつく。
モテキ(完)
勝利を勝ち取る物語ではなく始めの一歩の物語。それがこのモテキだった。
後にネットの対談で作者が「これは仕事で言うならニートが会社に行って僕を雇ってください、というまでの話でサラリーマン金太郎みたいになる話じゃない」といっていたので納得しました。(そのことをネットの対談ではなく作品で明確に描いてほしかったが)
物語にはカタルシスがあってすっきりと終わると読了感がいいものだから、作品としてはこの点数が妥当ではないかと。
[ 2010-08-04 11:44:56]
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