破壊魔定光
作者:中平正彦
雑誌:ウルトラジャンプ
レビュー全文
7点
:B・Aさん
実は一番好きかもしれないマンガ家さんです。
ぶっちゃけお話としてみると厳しいものはあるんですが、なにより絵に惚れるんです。昔、『学園帝国俺はジュウベィ』ていうマンガを少年サンデーで連載されていて、その絵柄に惚れて夢中になって読んでいました。生憎、そのマンガは人気がそれほど出なかったらしく単行本4冊で終わってしまいましたが。
そんな訳でこのマンガです。
物理マンガ(そんなジャンルがあるのかw?)、パラレルワールドのSFマンガという題材は、個人的にはすごい大好きです。物理を分かりやすく解説する本なんかを読んじゃったりしてる自分には(それでも充分には理解できないのですが)、マンガ内で『シュレディンガーの猫』とかいう単語が出てくるだけで「うぉ?」と意味不明のうめき声が出てきます(笑)。
ただ、冒頭にもいったように、中平正彦という漫画家さんはお話という部分では結構厳しいんですよね。
難解なテーマ、題材を扱っているだけにどれだけ分かりやすく読者に伝えられるかという部分が重要になってくると思うんですが、それがどうにも上手くいかない。
結局TFPという存在はどういうものなのか。そもそもそれさえなければ定光は苦労しなかったのに母はなぜそれを作ったのか。なぜやよいが平行世界の母の変化した姿と知っても恋愛をしたのか。普通、誰しもが感じるであろう倫理的な罪悪感を越えるための説得力がない。結局最後は自分との対決ばっかりになっちゃってるし、予知能力を持つと他の平行世界が無くなってしまうという設定にもすんなりとは納得出来ない。
いろんな疑問、惜しい部分、不満な部分は多々あるのですが、やはりそれでも好きかどうか聞かれたら「好き」と答えます。
それはやっぱり絵や世界観に惚れているからなんですよねー。
いろんな怪物(流刑体)が現れるんですが、そのデザインとかがまたいいんですよね。名前もカッコイイし。
リアルではないんだけど、すごい実在感があるというか。のっぺりとした奴なんて線としてはすごい単純なのに、チョンチョンて描いている効果線がすごい立体感を生んでいるんですよね。
あと巨大な怪物とかも、その存在感はすごいです。怪獣マンガとか巨大ロボとかのマンガに比べても、こんなに巨大感が出ているのはないんじゃないでしょうか。
ポンコツの造形とか、バルチャーとかは自分はそんなには来ないんですけど(むしろそれがもうちょっとカッコよかったら…なんて思ったりもw)それでもアクションシーンとかを見るとやっぱり改めて惚れてしまいます。
この人の絵ってデザインとしての整理された線と、リアル(というか世界観への収まりかたとでもいうのでしょうか)のブレンド感がとてもいいんですよね。だからこそアニメキャラっぽいのに、絵で語ることが出来るのだと思います。
7点なのは『個人的には満点だけど、人におすすめするには万人受けではない』から。
でもやっぱり大好きです。
[ 2010-09-30 02:45:26]
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