地雷震
作者:高橋ツトム
雑誌:月刊アフタヌーン
レビュー全文
9点
:souldriverさん
ある重要人物の死を境に前半と後半でかなり話の見せ方が変わっており、それに伴って話の主題も変化している特殊な作品。(ちなみに絵柄も同じ時期を境にかなり変化している)
前半は主人公である飯田が積極的に捜査に関与しているため主観的に話が進んでおり、また扱う事件も犯罪者の異常心理や麻薬、催眠といった「犯罪色」の強いものが多い。
この時期の事件内容自体は比較的ありがちとも言えるが、飯田が犯人を追い詰める過程にハードボイルド小説的な面白さがある。
後半は飯田が捜査そのものに絡むことは少なくなり、犯罪者自身やそれに関わる第三者を中心として、より客観的に事件が展開する。扱うテーマは連載当時の時代背景を反映した「社会問題」が意識的に取り上げられており、作者の関心の高さが伺える。
虐待が虐待を呼ぶ悪循環、いじめ問題、自殺の美徳化、酒鬼薔薇聖斗事件を思わせるような未成年者による惨殺事件、脳死や魂の在り処…といった非常に現実味のある問題が独自の切り口で描かれている。
特にこの後半に多く見られる「セリフ」ではなく「空気」にものを言わせる描写の鋭さは圧巻の一言。
どのエピソードも重い内容ながら、少なからず現代社会に身近に存在する「心の闇」について考えさせられる。一見大人向けの作品だが、ぜひ高校生ぐらいの人に読んでもらいたい。
[ 2007-06-21 06:57:34]
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