バットマン:アーカム・アサイラム
作者:デイブ・マッキーン
雑誌:DC Comics
レビュー全文
7点
:columbo87さん
これを漫画といっていいのかどうか悩むが、その辺はまあどこも懐が深いので大丈夫でしょう。画集といってもいい様な美麗な油絵、狂気の世界を見事に表現しており、絵だけを目的に購入してもいいと感じた。
実際私が購入したときは本屋の画集コーナーにおいてあった。ページ数自体は少なく、後半にはグラントモリソンのプロットを訳したものが掲載されている(おそらく完全版のみ?)。
アーカムアサイラムといえばジョーカー、といった感じだが、登場は最初と最後くらいで、基本的には病院内をバットマンが巡り狂気の世界に足を踏み入れていくというもの。
あらゆる物が象徴的に描かれ、大胆に解釈されたキャラクター描写も見ものだが、なんといっても狂気の世界がすごすぎる。仔細に書かれた脚本(これだけみてもモリソンの楽しそうなコメントや冷静な一人突っ込みが笑える)を見事に表現しているのは、アメリカンコミックがどのように作られるかを感じることもできて興味深いところである。
狂気の世界をバットマンとして読者が巡り、アーカムアサイラムの創設者であるアマデウス・アーカムのエピソードと、館にかけられた呪いとを手繰ってゆく。そしてその中で自分に存ずる狂気とも対面を果たすのである、はたしてバットマンは、そして我々は狂気の外にあるのかはたまた中にあるのか・・・
バットマンという作品の一つとしてもラストに集約される決着の方法が「らしい」格好よさと想像の余地を残す切なさとを与えている怪作。
[ 2011-09-09 13:39:40]
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