神戸在住
作者:木村紺
雑誌:月刊アフタヌーン
レビュー全文
10点
:punpeeさん
神戸の大学に通う女の子の、4年間の日常を切り取って綴られた作品。
とんでもなく平凡な日々の中に、本当に多くのドラマが詰まっている。
震災の様な大きなエピソードはもちろんの事、
父との外食や、弟が一人暮らしを決めた夜という、一見地味だが現実的なエピソードを、読み応えある一話にしてしまう作者の文章力と構成力には脱帽。
特に、大学4年間という時間の流れを非常に巧みに使い、キャラクターの精神的な成長の過程を丁寧に描いています。
身近な人間の死の受容、友人との距離の縮まり方等。
主人公の髪型も、ゆっくりゆっくり伸びていってますからね。笑
「ヨコハマ買い出し紀行」も同様、時間の流れって、それだけで大きなドラマの要素になるんですね。
特筆すべきは、この作者が男性だという点に驚いてしまった程、女性主人公の描写が丁寧です。
それはこの作者の後に続く作品も同様ですが、焼き鳥屋店員なら焼き鳥業界の、ボクサーならボクシングの、柔道部員なら柔道の、
それぞれのテーマに関する知識や技術等の描写、解説が非常に繊細で丁寧な事から、作者の真面目で研究熱心な姿勢が伺えます。
この作品には人種や性、障害等のあらゆる差別もテーマの一つとしてり、メインでないキャラクター達にもそれぞれの葛藤、反省、覚悟が描かれています。
これらの描写も、前述の理由から、いい加減な気持ちでテーマに組み込んでおらず、読み応えがあります。
個人的には素晴らしい良作なのですが、
地味すぎるという点と、キャラクターや世界観に慣れる前の序盤の敷居の高さから、人にお薦めしにくい作品である事も事実です。笑
[ 2017-02-27 17:59:13]
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