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OZ


6点(レビュー数:6人)

作者樹なつみ

巻数4巻 (完結)

連載誌LaLa:1989年~ / 白泉社

更新時刻 2009-11-25 06:32:17

あらすじ 世界と人類を壊滅状態にした核ミサイルが爆発してから31年後、未だ戦乱と混迷、食糧不足、エネルギー不足、環境破壊による砂漠化等々、人類の先行きに希望が持てない世界で、まことしやかに囁かれるひとつの伝説があった。それは、大戦前に科学者(頭脳)集団が創った巨大シェルターの存在だった。飢えも戦争もない最先端の科学都市、その名をOZと云う……。
 

備考 1992年にアニメ化、1993年に星雲賞コミック部門を受賞。
現在は、加筆および未収録の番外編がすべて収録された「OZ 完全収録版」(全5巻)が刊行されている。
 

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OZのレビュー

点数別:
1件~ 5件を表示/全6 件

6点 niveaさん

近未来SF+軍事モノ+恋愛+サイコサスペンスというてんこ盛りな要素が複雑に交差することで生まれるヒューマンドラマを、テンポのよいストーリー展開で見せて行くという、まるで1本の映画のようなエンターテイメント作品です。

ご都合主義の大味な展開は山盛りにせよ、大テーマに最後までブレがないので一気に読めるし、少女漫画というカテゴリーの中では比較的骨があるストーリーと絵柄で、この作品で一気にこの作者のファンになりました。

が、テーマが壮大過ぎるためなのか本筋から派生する一つ一つのエピソードとキャラ設定が多少お粗末な印象も。物語の重要なキーワードの一つである「パメラプログラム」のエピソードの終結があまりにも不完全燃焼だったし、ザ・悪役であるリオンのサイコっぷりも中途半端。そんな理由だけでヒューマノイド作っちゃう?!という。

また、ヒロイン・フィリシアとその実姉であり恋敵でもあるヴィアンカの、意中の人でありこの物語の主要キャラであるムトーをめぐる恋のバトルもなんだか尻切れ。

なので、ヴィアンカが絡むすべてのエピソードが付け足し感たっぷりに感じてしまい、あまり生きなかった印象がありました。良いキャラだったのに。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-07-11 06:10:11] [修正:2014-07-11 06:10:11] [このレビューのURL]

4点 paranaさん

完全収録番で全5巻ながらSF超大作の雰囲気を持つ
第三次世界大戦後の世界を描いた作品。

しかしながら、戦争を操るとするラスボスとも言えるリオンのキャラが弱く、
戦闘型サイバノイドが1体だけだったり、
スリリングな展開に持って行けそうなのに主人公のピンチ感がイマイチ足りない。

泣ける作品と聞いて読んでみたのであるが、
確かに感動できるストーリーラインになってはいるものの
やっぱりそれまでのスリル感がなかったために感動が弱い物に感じられて残念。
(泣ける度1★☆☆☆☆)

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-05-26 18:45:26] [修正:2014-05-26 18:45:26] [このレビューのURL]

8点 kuroneko3298さん

舞台は第3次世界大戦から31年後の世界----
戦乱と混迷の中---夢の都市OZを目指す物語
当時少女マンガにてこのとてつもなく壮大な物語は私の心をわしづかみ。
1019(サイバロイド)のムトーへの思いには大泣きしたっけ。

傭兵ムトーは私にとって大好きな冴羽 獠よりかっこいー男でした♪
欲を言えばOZの支配者リオンはもうちょっと骨のある男であってほしかった!

モチーフは「オズの魔法使い」ピンとこなかったけど
OZを目指すフィリシアがドロシーなら
ムトーは心(愛)を得たブリキ。ネイトは自分で進む勇気を得たライオン
1019(サイバノイド)は人になるべく知識を得た案山子だったのかもしれない。
SFというよりは少女マンガらしく心や思いが秀悦な本作---。
OZはとんでもないところだったけど、ムトーにとってのOZは 
銀色に輝く麦畑が一面に広がる地球--だったんだよね。
ラストまでぬかりない終焉にほっこりでしたわ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-10-02 18:13:38] [修正:2012-10-02 18:13:38] [このレビューのURL]

3点 booさん

少女漫画では珍しい本格っぽいSF。

樹なつみのキャラクターはショタっぽいなぁ、とは多分大概の人が思うこと。今作の主人公の片割れなんて22歳なのにこんな幼くしちゃってるんだからもはや狙ってんのか癖なのかよく分からない。

OZとはそんなショタっぽい凄腕軍人含むドロシー改め天才科学者少女フィリシア一行が、戦争で荒廃した世界を舞台に、天国のような場所だという科学都市“OZ”を目指すお話。要はオズの魔法使いをモチーフにしたSFなのだ。

樹なつみが描いたSFというと、このOZと獣王星の二つが挙げられる。
そもそも私は樹なつみのSFが好きではなくて、というのも結局OZにしろ獣王星にしろこの人は科学を否定することしかしないから。行き過ぎた科学を、人間に扱えないものと否定して、樹なつみは原始へと回帰することを、もしくは停滞することを選択する。
でもそこで思考を止めてしまったらSFを描く意味はあるのかな?と私などは思ってしまうわけで。

別にある面で科学を否定するのは構わない。そもそも1970年代以降のSF作品では未来が無条件に明るく信奉されることはなくなった。私達は未来が必ずしも明るいものではないと気付いてしまったから。
それでも私が見たいのはどんな奇妙に感じられても、やはり未来に生きる人間の姿を描き出す作品であり、その未来とは私達が生きる“今”との繋がりを感じさせてくれるものであって欲しい。ある意味では未来を予知する作品であって欲しい。何よりセンス・オブ・ワンダーをいっぱいに感じたい。
そういった点で私はOZを読んで心苦しくはあっても、その先に何かを感じることは出来ない。先を否定してしまったのだから当たり前のことではある。

そんな文句はとりあえずこれくらいにして…。

この作品のテーマで描かれるテーマは概ね二つ。
一つは管理社会への警鐘?だろうか。これに関してはその管理者をただのわがままなガキにした時点で失敗は目に見えている。アラン・ムーアの傑作「V フォー・ヴェンデッタ」やエンキ・ビラルの作品などと比べると、やはり冷戦を直で経験していない日本の漫画はこのテーマには弱いのかなと感じざるを得ない。

もう一つはアンドロイドと人間の違い。
心を求めるブリキ男とヒューマノイドを重ねるアイデアはおもしろい。いや、これは本当に巧い。
巧いとは思ったが、テーマの広さ、深さ共に「電気羊はアンドロイドの夢を見るか」の劣化コピーの印象をぬぐえない。そもそも最後に全否定してぶっ壊してしまったら元も子もない気もするわけで。

そして最後はいきなり「夏への扉」で終了。
普段しないようにしているのに、ついつい色んな作品と比べてしまったのは、この“既視感”ゆえ。

既視感があるというのは、別にテーマが被っているとかいう問題じゃない。
例えば「寄生獣」のテーマだって別に目新しいものではなかったけれど、あの作品はテーマの描き方というのがまず素晴らしく独創的で(だってミギーですよ)、かつまとめ方が職人技的にすごく上手かった。
一方OZを見てもテーマにしろ描き方にしろ既存の作品のデッドコピーか薄まったものにしか感じられなかったってことで。

結局何が気に入らなかったのかというと、SFをがっつりやりますよ、という期待感を与える要素はいっぱいあるのに中身は可もなく不可もないジュブナイルの域に留まってしまったこと。
私が肩透かしを食らって勝手に文句言ってるだけかもしれない。でもこれは明らかにそういう中身を期待させようとはしてると思うんだけどな。

SFを期待せずに、ジュブナイルとして見ると決して悪い作品ではないかと。でもそうしてみると後付け後付けで話が進行していくのは多少うっとうしく感じられるから困る。だって実は、実は、で進むんだもん…。

否定的なことばっかり書いてきたけれど、逆にSFをあまり読まない人だと気にならないかも、なんて言葉で白々しく締めてみる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-12-06 21:57:39] [修正:2011-12-06 22:10:20] [このレビューのURL]

8点 とろっちさん

わずか40分間で終了した第三次世界大戦によって世界人口は激減。
疑似氷河期を経て未だ戦乱と混迷の治まらない地球において、囁かれる一つの伝説。
それは、飢えも戦争も無いという伝説の都市、OZ…。

舞台は旧・アメリカ合衆国が大きく6つに分裂したうちの1つの共和国。
大戦によって植物は完全に枯死し、寸断された交通・通信網は容易に回復せず、各地で争乱が起こり
至る所で住民達により立国宣言が相次ぐ、という北斗の拳もビックリな世界観。
優秀な傭兵である主人公は、周囲の国々との戦争・交渉・謀略が続く中、雇い主の女性を守りながら
伝説の都・OZを目指す、樹なつみ氏お得意の近未来SFアクション。

少女漫画誌に掲載されてはいたものの、絵も内容も世界観も少女漫画の規格を遥かに凌駕した作品。
『オズの魔法使い』をモチーフにしたという本作は、とにかく骨太でスケールの大きさを感じさせます。
少女ドロシー、知恵がない案山子、心を持たないブリキ男、臆病なライオン、そして魔女や大魔法使い。
それぞれのキャラがどれに相当するのか楽しみながら読み進めてみるのも良いと思います。

主人公とヒロインとの恋愛模様もありますがそこまでメインとして描かれているわけでもなく、
むしろ少しずつ自我や感情を獲得していくヒューマノイド(=人造人間)との心の通わせ方
(と言うか疑似恋愛と言うか愛憎と言うか)が作品の核となっており、その描写が非常に秀逸。
ラストは綺麗にまとまっていて素晴らしいです。
同時に、アシモフの「ロボット工学三原則」に作者なりの解釈が加えられており、
考えさせられるような結末にもなっています。

作者の絵はこの頃が一番好きですね。
洗練されていながらも読みやすい絵柄に加え、骨太の近未来SFに相応しく、アクション映画を彷彿と
させるようなエンターテインメント性をも感じさせる構図。
まさに樹なつみという作家の持てる力を存分に凝縮した、個人的には作者の最高傑作だと思います。
が、一つだけ残念な点を挙げると、あまりにも凝縮させすぎて、内容のボリュームの割に
巻数(通常版4巻、完全収録版でも5巻)が少なく感じられること。
おかげで展開が速い速い。 もうちょっと巻数を増やしてじっくり描いても良かった気がします。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-10-28 01:39:33] [修正:2011-10-28 01:42:25] [このレビューのURL]

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