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8点(レビュー数:2人)

作者沙村広明

巻数1巻 (完結)

連載誌マンガ・エロティクス・エフ:2013年~ / 太田出版

更新時刻 2016-02-12 15:24:58

あらすじ 1933年、ソビエト連邦カレリア自治共和国。とある別荘(ダーチャ)の管理人であるイリヤ・エヴゲーニヴィチ・ブイコフは、車椅子の少女・ビエールカと物言わぬ従者・シシェノークに出会い、奇妙な賭を申し込まれる。なぜ彼らはこの地を訪れたのか、どこからやってきたのか。そして互いだけを頼りに生きる二人が背負う、密かな宿命とは――。 とある名家にまつわる、喪失と奪還の物語。車椅子の少女と物言わぬ従者。互いの他に、信じるものなどない二人。極寒のロシアを舞台に沙村広明が描く、戦慄の歴史ロマン。

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春風のスネグラチカのレビュー

点数別:
1件~ 2件を表示/全2 件

10点 朔太さん

何とも言えない上品な文芸作品に接することができた余韻が残ります。
まず、洋風名画に匹敵するような美しい描画力です。
車椅子の少女ビエールカの美しさは目を見張ります。
沙村の描画力、構図の美しさは、絵描きとしても成功していたと思われます。

次に、ロシア革命直後の混乱した圧政下の非道理不尽な世界を背景に、
謎がかった少女と従者の不思議な取り合わせという人物設定の妙、
没落貴族や王家生き残りという歴史的史実の絡め方など、
小説としても興味をそそる内容で、展開もスリリングです。
魅力的な人物も散りばらめられており、文章化、映像化しても
一定の成果が得られることが期待できるような内容です。

さらに、読後に感じるのが、タイトルのすばらしさです。
春風のイメージとはかけ離れた全般の印象が、
最後のシーンですべて決着してしまいます。
最後のシーンまで計算し尽くした上で、作品タイトルを
決めていたのでしょうか。
してやられた感で満載になりました。

すべての点で、漫画としての最高のレベルにありますので、
10点をつけざるを得ません。

今後の沙村広明さんの活躍に目が離せません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-07-04 07:49:59] [修正:2021-07-04 07:49:59] [このレビューのURL]

6点 gundam22vさん

「無限の住人」に比べると、時代考証が本格的です。ロシア革命後のソビエト連邦を二人の男女を視点としてミステリー風物語として、映画風に良く描けています。史実人も多数絡みますが、物語を一読する上では予備知識はそこまで必要ではないかと。巻末に補足的な人物紹介があり、読了後理解が深まり、練られた話だったのだなと感心。相変わらずの画力の高さは必見です。展開が地味で起伏に乏しいところ、重い描写もありますが、丁寧に伏線を拾いつつ、前向きな読後感が抱ける全1巻の歴史佳作だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-11-25 18:58:29] [修正:2016-11-25 18:58:29] [このレビューのURL]


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