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8点(レビュー数:2人)

作者池上遼一

原作工藤かずや

巻数8巻 (完結)

連載誌ビッグコミックスペリオール:1986年~ / 小学館

更新時刻 2009-11-25 06:36:39

あらすじ 尾張国のうつけとして知られる織田信長は、桶狭間の戦いで駿河国の今川義元を斃して、華々しく歴史の表舞台に登場した。信長は足利義昭、浅井長政、武田勝頼、石山本願寺率いる一向一揆などの敵対勢力と死闘を繰り広げながら、羽柴秀吉、明智光秀らの部将とともに知略を尽くして天下布武に向けて邁進していく。

備考 物語の終末間近に『安土天守・障壁画の章』で安土城のカットが資料の無断使用に当たるとして問題となった。そのため小学館ビッグコミックスから刊行中だった単行本も7巻までで発刊が停止となっていた。しかし2003年から翌年にかけて、問題となった箇所が新たに書き直され、長らく待たれていた完全版として全8巻がメディアファクトリーから刊行された。

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信長のレビュー

点数別:
1件~ 2件を表示/全2 件

8点 臼井健士さん

「織田信長」・・・・。

このおそらくは日本史上ただひとりの「革命家」にして、「中世」から「近代」への転換器の役割を果たした不世出の英雄の生涯を描いた決定版!というような漫画はまだ登場していない。

そんな数ある「織田信長漫画」の中ではこれは出来のいいほうの部類だと思う。
池上先生の劇画調のタッチが合戦の凄惨さ・泥臭さを余すことなく表現出来ている。
この漫画の信長は「残虐な魔王」ではなく、理想と確固たる信念を持ち、悲しみも涙も胸の深いところに隠して立ち向かっていく力強さに満ち溢れている。

印象的なシーンは自分を倒そうとしながらも只管「他力本願」な足利義昭を
「人の力にすがっている限り、永遠に天下は取れん!」とこき下ろすところ。
作中においてこの2人は好対照に描かれている。「将軍」という権威の上に胡坐を掻いているだけの無力な義昭と、動乱の世を治めるのは「絶対的な力」と認識している信長と・・・である。それがまた見事だ。

「妙覚寺の変」など、それまで知らなかったエピソードなども盛り込まれているが全体的に短い。
全8巻以上に各エピソードを詳細に描けば、倍の巻数くらいは楽にいったはずだ。その点が惜しいな。

信長は「妙覚寺の変」もそうだが、意外に「油断」が多かった。初めて上洛するときに義弟の浅井長政に助力を頼みに行った帰り道、浅井領に近い柏原という地の寺に宿泊していたのだが、なんと供廻りを僅か250人ほどしか連れていなかった(!)。それを知った長政の重臣のひとりが「こんな機会は二度とない。今こそ信長を討ち取りましょう」と長政に進言していた。
それと言うのも「信長は知略に優れているだけに油断がならない。このまま上洛が成功したらたとえ妹婿(長政は信長の妹・お市の方を娶っていた)といえども斬り捨てられる可能性が高い」。
・・・・・・・この家臣の進言には長政も心動かされるものがあった。・・・・あったのだが・・・・、結局、長政は見逃してしまう。それというのも長政の性格ではそんな「騙まし討ち」のようなやり方で信長を倒すことは出来なかったのだ・・・・。勿論、妻のお市の方を悲しませたくないという気持ちもあったことだろう。けれど、この時のチャンスをみすみす逃したことが後年、長政自身が信長に討たれることになる皮肉。

そして信長自身も最後までこの「油断グセ」は直らず、その油断を見逃してくれない「明智光秀」に今度は自身が討たれる事になるのだ。正に「因果応報」か。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-01-07 22:58:17] [修正:2012-01-07 22:58:17] [このレビューのURL]

8点 そのばしのぎさん

織田信長が主役の物語もいくつかあるが、かなり史実に忠実な部類だと思う。
観音寺城の戦いあたりで、これはフィクションですよ?といった部分はあるけど。
もちろん明智光秀の謀反の理由なんて本当の所はわからない訳だが、
取り合えず織田信長の漫画ではお奨めの一冊。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-18 20:42:56] [修正:2010-09-18 20:42:56] [このレビューのURL]


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