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7.66点(レビュー数:3人)

作者つげ義春

巻数1巻 (完結)

連載誌COMICばく:1985年~ / 日本文芸社

更新時刻 2009-11-25 06:41:03

あらすじ 主人公の助川助三は、かつてはそれなりに名の知れた漫画家であった。だが近年は仕事も減り、たまに執筆の依頼が入っても、自ら「芸術漫画家」を自称しているプライドがあるため、断り続けている貧乏な日々を送っている。妻のモモ子からは漫画を描けと時になじられるが、助川は全く描こうとはしない。そこで助川は漫画以外の新たな道を模索するが……。

備考 「石を売る」「無能の人」「鳥師」「探石行」「カメラを売る」「蒸発」と続くシリーズ連作。

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無能の人のレビュー

点数別:
1件~ 3件を表示/全3 件

7点 ガクちゃんさん

貧乏、困窮、退屈、人生…
と繋げていくとあら不思議、現在の社会問題に通じるテーマが根底に流れている。
わびしさを表現する。日常の無為を表現する。変なユーモアがとことん虚しく、その先にわずかな希望。
しかも何度も読み返し、なお新鮮。
著者の独壇場であり、こんな味わいは他の作者で読んだことがない。どんな味わいって? 
力なく「ふふ…」と笑う味わい。
本作は、著者のこれまでの圧倒的な表現描写の肩の力が抜けている。
そこに物足りなさを感じる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-01-16 09:58:06] [修正:2010-03-22 22:20:17] [このレビューのURL]

8点 まれらさん

ネタとしてはねじ式やゲンセンカンの方が有名かも知れない。映画化された点を除けば実に地味な作品。
作品終盤で語られる井月は、安政年間から明治半ばまで伊那谷を漂泊し、芭蕉や西行にあこがれたまま野垂れ死んだ。やがて昭和の世には、山頭火もまた伊那谷を訪れる。漂泊の人は漂泊の人にあこがれ、彷徨い続けるのが宿命なのだろう。つげ氏もまた同じなのかも知れない。
井月の話が淡々と語られ、それまでの作中の喧噪が浄化されてゆく。陰鬱な話の筈なのに、なぜか清々しい結末。井月の辞世の句で締めくくられた後は、自分もまた無能の人にあこがれる穏やかな読後感。
つげ作品の頂点と感じた。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-11-20 00:40:31] [修正:2007-11-20 00:40:31] [このレビューのURL]

8点 Dr.Strangeloveさん

「ねじ式」で知られる不条理作家としてのつげとは違う、私小説作家としての一面が窺える。
かなりネガティブで地味な話。でもなんだか面白い。日本映画を見ているような感覚。
つげ義春は元祖ニートかもしれない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-11-09 15:33:36] [修正:2007-11-09 15:33:36] [このレビューのURL]


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