土星マンションのレビュー
7点 booさん
岩岡ヒサエは土星マンションが初めてだったのだけれど、これは好きだった。
完結後に一気読みしちゃって、連載中にゆっくり読んでいきたかったなぁとちょっと後悔したりして。本当はもっとかみ締めるように読んだ方が良いような、そんな作品。
人々は地球に住むことを許されず、地球を囲う上中下層に分かたれたリングシステムで暮らすようになっていた。リングの下層住民ミツは、事故で亡くなった父親と同じく、リングの窓拭きとして働くようになって…。
いわゆるラリー・ニーヴンのリングワールドの世界。一応SFということにはなるのだけれど、土星マンションで描かれるのはあくまでリングに生きる人々だ。隣家の住人、窓拭きの組合の仲間たち、ミツが依頼を受ける上層の住人たち…ミツの世界は少しずつ広がっていく。
優しいSF人情劇。みんなまっすぐなんだよなぁ。捻くれた真でさえも、まっすぐに捻くれていて。また数少ない悪人(この言い方もしたくないけど)にだって、感じるのは嫌悪ではなく人間の業に対する痛々しさだ。良いお話が良いお話としてすっと入ってくる素晴らしさを存分に味わった。
岩岡ヒサエが描くリングで囲まれた世界にはブレがない。多分この人、自分の頭の中には確実にその世界が存在しているのだ。それを覗いて絵にしているんじゃないか、とさえ思ったりして。またフリーハンドで構築された世界は物語に対して感じる印象と同じく、素朴で優しい。絵と物語がぴったりと調和している。
そんなユートピアのような世界でも、時は動いていく。窓拭きを辞める人もいれば、新しく入ってくる人もいる。永遠じゃないからこそ、よりこの世界とここに住む人々が愛おしかった。
土星マンションで一貫して描かれ続けるのは、人のつながりの大切さだ。ミツを通してつながってつながってつながった絆は、ラストに結集される。仁さんだけではなく、みんなが叫んでいるのだ。
「どこにいたって、一人きりになんてさせねーからな。」
シンプルで、でも人が忘れやすいもの。それが素直に心に染み入ってくるのは良い作品ですよ。リングシステムであっても、確かに人間は生きていた。SF好きにもそうじゃない人にも、おすすめ。
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[投稿:2012-03-27 18:58:29] [修正:2012-03-27 18:58:29] [このレビューのURL]
6点 1000さん
主人公が周囲の人に支えられて成長する話
SFという感じではなく人間ドラマという感じ
全体的に暗いかなというかんじ
個人的には主人公より周りの人たちの話がすき
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[投稿:2011-08-25 01:01:36] [修正:2011-12-15 22:03:20] [このレビューのURL]
5点 kikiさん
地球にかかる土星のわっかのような居住区で窓拭きをする少年
ってなんてメルヘンチックな設定!惹かれて読んでみました。
SFでかわいい絵柄でほのぼのした話かなと期待したのですが、
く、暗い…。
居住区の上層部と下層部に住む人々の間に階級差別があって
窓拭きも底辺の仕事だと思われてる世界。
全てが暗いわけではなく、希望をともすようないい話もあるん
だけど、そことなく漂う重い雰囲気が読んでてメランコリックな
気分になりました。
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[投稿:2011-08-09 16:56:23] [修正:2011-08-09 16:56:23] [このレビューのURL]
6点 bugbugさん
SFとハートウォーミングなストーリーの組み合わせって誰が最初に考えたんでしょうか。
じわじわ胸に迫るものがあります(ただ単にこの手の話が大好きなだけですが)
水惑星年代記とかスピカとかヨコハマ買出し紀行とか好きな人は間違いなくハマると思います。
最近はちょっと物語りに謎がプラスされてきていますが、
期待しているのはそうじゃない。
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[投稿:2011-01-10 21:40:47] [修正:2011-01-10 21:40:47] [このレビューのURL]