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7.5点(レビュー数:2人)

作者西島大介

巻数2巻 (完結)

連載誌描き下ろし:2006年~ / 早川書房

更新時刻 2009-11-25 00:45:21

あらすじ ある日、わたしの分身が現われた。わたしに何の断わりもなく、世界はわたしの居場所を奪った。それでもわたしが「ふざけんな」って言わないのは、あらかじめ、みんなを赦してるから―。『凹村戦争』の西島大介による、書き下ろし長篇コミック全2巻。すべての人におくる果てしない“赦し”の物語、ここに開幕。

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アトモスフィアのレビュー

点数別:
1件~ 2件を表示/全2 件

他人を赦すことは解決になるのか?
いやそもそも"赦す"ことは放棄につながることなんだ、少なくともこの主人公のなかでは。

世の中のなにもかもを赦して生きてきた「わたし」の前に現れたのは
           . . .
もうひとりの「わたし」。
通称「守る会」の活動によって分身は殺されていくけど
この現象はどんどん広がり被害者も増えていく。
そのうちカバンも建物も国でさえも分身していって。
そのすべてをことごとく赦す「わたし」。
最終的には許容範囲を越えてしまったところでとんでもないオチ。
まったくもって許すまじ。


一切を赦すことは無償の愛である
なんてアガペ的な聞こえの良いものではなく「わたし」はとことん世界に向き合っていないだけ
赦すことで事なきを得る
現に「わたし」は生き延びている
生きていくには「赦し」が手っ取り早いということか。


表現はすごい
ギリギリマンガとして成り立ってるくらいのものだけど。
分身を表す記号が星々になってたのには驚いたし
オチでは文字通りマンガの枠をぶち壊した。
独白ばっかで多少ポエムポエムしているので嫌いな人はなかなか嫌うだろう
多分最後までたどり着けないんじゃないでしょうか。


読み終わったところで冒頭の警部の言葉が効いてくる
「想像を超える結末なんてない」
ここにあった。
それともこれはまだ想像の範囲内とでもいうのか。
なかなかメタ的な作品。
読後感なら「凹村」よりこっちのほうがスッキリ
まあぶっ飛んでて比べようがない気もするけど。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-07-18 18:36:12] [修正:2012-07-21 16:42:20] [このレビューのURL]

8点 為亀さん

[ネタバレあり]

全てを赦す、と称して全て諦めてしまうことで自己防衛している主人公に、「全部を赦すとか言っても結局、自分の想像の及ぶ範囲のことしか赦せてないよね。」ってことを、作者がずっと言い続けるような話でした。

冒頭から、全てを赦しているとか理由なんかどうでもいいと言う主人公に作者が、「こんなこと赦してなかった、というか考えてもいなかったでしょ?」「じゃあこれは赦せる?」って感じで問いつづけて、最後の最後にそれまでの全ての出来事の重みを梃子にして「じゃあこれは?」って聞いて主人公を屈服させて、主人公はやっとこさ次のステージへいける。という話。

なんじゃないかなーと思いました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-09-27 19:18:54] [修正:2008-09-27 19:18:54] [このレビューのURL]


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