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6点(レビュー数:1人)

作者TAGRO

巻数1巻 (完結)

連載誌短編集:2009年~ / 講談社

更新時刻 2011-02-16 01:03:42

あらすじ 30歳を超えて社会と向き合おうともがく表題作ほか、ファウストやマンガ・エロティクス等に掲載された全7編を収録した短編集。
 

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DON'T TRUST OVER 30のレビュー

点数別:
1件~ 1件を表示/全1 件

6点 とろっちさん

Don't trust over thirty. そのまま直訳すれば、「30歳以上を信用するな!」

30歳を超えた漫画家が、ふとしたことから自分が年齢的に十分に大人であることに気付いてしまい、
「大人」という言葉が重くのしかかってくる中で、どうにも「大人」になりきれない自分の弱さを
ダメな父親のせいにする…。 そんな私小説的な臭いを感じる表題作で幕を開ける短編集。

大昔は10代半ばで元服して大人の仲間入りをして、いつの間にか成人が20歳になって、
現在では(法律上はさて置き)実際には20歳だとまだ立派な大人として扱われるかは微妙で、
どんどん大人になる年齢が後退していく世の中。
どこまでが子供なのか、どこからが大人なのか。
誰がいつ決めるのか、境目はどこにあるのか。
「今までは大人に向かって言う側だった。 それが、子供に向かって言う側になるだけの話よ」
そんな岐路に立たされた人々が青臭くもがく話、ならまだ良いのですが、そこはやっぱり OVER 30。
そうだったりそうでなかったり、一筋縄ではいかないんですよね。

そういうような青臭い短編がいくつかあって、巻末に来るのは表題作の続編に当たる位置付けの
「SON HAS DIED, FATHER CAN BE BORN」。
この短編は実に良い感じ。
「親なんて所詮、生物学上の親でしかありえない」はずだったのに、あれだけ嫌いだった父親を思い返し
「子供がいることで初めて親になれる」のかもしれないと思い始める主人公。
そしてふと気が付くと「立派な大人」の呪縛は消え去り、肩の荷が軽くなっている。
言葉で書くと何か陳腐なのが残念ですが、この構成も構図もなかなか感慨深いです。
あと短編中にもう一つ別のエピソードがありまして、そっちも好きです。 でもこれは男のエゴかな。

面白いかどうかはさておき、何かが後に残る、ような気がする一冊。
とりあえず何度も読み返したくなります。
30を超えてそんなことで悩むなよ、という方もたくさんいるでしょうが、たまにはこういうのも良いかも。
「良い大人になってね」なんて言葉、AROUND 30 としては耳が痛いなあ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-02-16 01:06:20] [修正:2011-02-16 01:16:12] [このレビューのURL]


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