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9点(レビュー数:1人)

作者きむらみつお

原作川原正敏

巻数1巻 (完結)

連載誌月刊少年マガジン:1994年~ / 講談社

更新時刻 2012-01-08 08:04:34

あらすじ プロ野球・元阪急ブレーブスの投手、山口高志の剛速球伝説と、元阪神タイガースの景浦将と元読売ジャイアンツの沢村栄治とのライバル関係を描く2本立て。

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夢の球譜のレビュー

点数別:
1件~ 1件を表示/全1 件

9点 臼井健士さん

山口高志・・・・。

日本プロ野球史上、最も速いボールを投げた投手は誰か?ということが時々ファンの間で話題に上がるが、そのときに必ずと言っていいほどに名前が挙がる投手である。
レコードブックに残る成績は・・実働8年で通算50勝ちょうど。タイトルは入団の年に受けた「新人王」と最優秀救援投手が一度だけ。成績だけみれば確かに「二流」である。

がしかし、彼と同時代を現役で過ごした同僚・ライバルたちは言う。
阪急で同僚で通算284勝の史上最高のサブマリン(下手投げ)・山田久志は言う。
「高志は終速で150キロ出した」
日本シリーズで対戦した巨人の高田外野手は言う。
「山口は明らかに江夏(豊)よりも速かった」
同時代に捕手として多くの投手のボールを受けた河村捕手は証言する。
「自分が受けた投手の中で、(ボールを)捕るのが怖いと思ったのは山口だけだった」
赤ヘル・広島カープの四番、山本浩二は断言する。
「投手としての総合的な完成度では(ナンバーワンは)江夏(豊)、だが球のスピードに限れば山口高志」

その全盛時のピッチングを目にしたファンは証言する。
「ボールが瞬きしている間に、ミットに入っていた」
芥川賞受賞の作家・吉目木晴彦氏は賞賛した。
「山口は、ノーラン・ライアンよりも速い球を投げた」

昭和50年のドラフトで社会人野球・松下電器から入団した、この球史にも稀な超スピードボールを投げる投手はプロ野球に旋風を巻き起こした。しかし・・・無理なフォームで投げ続けたことから腰を痛め、現役生活の後半の4年間は「並以下の投手のピッチング」しかできなかった。
投げる球種の9割が「ストレート」だったという。プロ野球界の門を新たに叩く新人投手が入団会見でよく口にする「ストレートで押せる投手になりたい」という「いずれは、それが甘い考えであることにおそらく誰もが気付くであろう夢」を入団から4年間だけながら実現することができた彼は「幸福」だっただろうか?それとも「不幸」だっただろうか?

とにかく怪童「尾崎」、黄金の左腕「江夏」、伝説の投手「沢村」「スタルヒン」らと並び「日本プロ野球史上最速のボールを投げた投手」だったことは間違いない。

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[投稿:2012-01-08 08:05:23] [修正:2012-01-08 08:05:23] [このレビューのURL]


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