ホーム > 青年漫画 > ビッグコミック > ばるぼら

8点(レビュー数:1人)

作者手塚治虫

巻数2巻 (完結)

連載誌ビッグコミック:1973年~ / 角川書店

更新時刻 2009-11-25 06:31:17

あらすじ バルボラというフーテン娘に導かれ、芸術と狂気の間をゆれ動く、ある作家の栄光と喪失。
バルボラは悪魔か女神か。バルボラとの奇妙な同棲が作家にもたらす恍惚と絶望。

備考 コンビニ用のリミックス版は1巻完結。

シェア
Check

ばるぼらのレビュー

点数別:
1件~ 1件を表示/全1 件

8点 団背広さん

[ネタバレあり]

狂える作家が一人の女に導かれ、気違いじみた芸術の深淵に足を踏み入れる物語。

白昼夢に取り憑かれた男を主人公にしたことが設定として上手く活かされていて面白い。
どこからが夢でどこからが現実なのかわからず、ひとつのエピソードが終わるまでそれがどういう話なのか予測しようがないのがいいね。船の話なんかはそれでいて上手くオチがまとまってるし、このへんに手塚治虫のソツのなさを感じる。

ただ、この現実と幻想が入り混じった感覚が最後まで一貫していれば良かったんだが、2巻に入って黒魔術の話がメインになるとそれまで「わけがわからないから良かった部分」に突然説明が入ってしまって、途端に面白味が薄まってしまう。
読者ウケが悪かったからテコ入れしたらしいんだけど、俺は前半部の狂った感じが好きだったのに。最後まで徹底してそれを貫いてほしかったなあと思って少し残念。


この漫画に出てくるバルボラという女、これはまるで芸術そのものを具現化したような女だ。気まぐれで、本当にいるのかどうかわからないってとこなんて特にそう。
そして偏屈で気狂いじみた作家というと、どうしても色々と逸話の多い手塚本人を連想してしまう。
多分この作品は手塚治虫の半自伝みたいなもんじゃないかな。「芸術」という名前の女と付き合った日記のような。
そういった意味でも印象深く、興味深いので、個人的に手塚作品の中でもかなり好きな一作だったりする。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2005-11-03 12:37:19] [修正:2005-11-03 12:37:19] [このレビューのURL]


ばるぼらと同じ作者の漫画

手塚治虫の情報をもっと見る

同年代の漫画

ビッグコミックの情報をもっと見る