「海鮮丼」さんのページ

総レビュー数: 1レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年07月05日

3点 ONE PIECE

連載第一話から継続して読んでいます。

その上でこの作品を一言で表すと、「過大評価」。

ジャンプ黄金期の看板であるドラゴンボールに成り代わる作品として、初期から編集部の厚いプロテクトがかかっている所為か、作者の当初の構想を遥かに超える長期連載作品として、冗長なストーリーになってしまっています。これは、作者の引き出しが多いのではなく、単純に構成力が著しく欠如していると感じます。(商業的に長期連載を義務付けられているとはいえ、容認出来る範疇を超えています)

作者自身、初の連載作品で話のテンポや空気間、読者を意識したコマ割など、連載当初は稚拙ながらもそれらを意識しながら描いていた風に見られますが、作家として若く未熟な所を数多く残したまま売れっ子になってしまったが故に、編集の介入をも作者が拒み(作者自身が述べています)、見せ掛けや上辺だけの作りになっていって「後半は中身がスッカラカンの人形劇」を見せられている感覚に陥っています。
※序盤の評価が高いのは、読者をしっかり意識し、作者の若さを表現として武器に出来ていたからだと思います。

最近では、キャラクターとしての魅力を描かずに、外見や口調だけで選別し乱発させる登場人物や、伏線の意味を理解出来ずに無駄に世界観の広がりだけを行い続けて設定崩壊を引き起こしたり、何よりも仲間を重んじている様で結局猪突猛進で自分勝手に対象者を殴り主義主張を貫き通して後先を考えない主人公など、非常に読んでいて違和感を感じる部分があります。


以下、読みながら感じた不満点です。
細かすぎる描き込みで、かえって読み辛い。漫画なのにセリフが多く絵で語れない。友情や家族愛の描写がイマイチ。労せずに新必殺技が披露される。やたらと多く長い回想。明らかに不要なエピソードを何週も執筆する引き伸ばし。長期連載を通して目的地への進捗度合いが一向に不透明。周りの人間をどれだけ巻き込んで大迷惑をかけても、自分らの主義主張は頑として通す。肝要な所で必ず外部から助けが入り、それにおんぶだっこする御都合主義と海賊理念の矛盾性。悪い意味での独自アイデアが目立つ。
などなど。


設定崩壊や矛盾を引き起こす程のアイデアの投下や、ファンタジーとしての独創性は評価出来ますが、いかんせんバランスが悪いです。大衆の支持を得てしまったが為の不完全な内容であると思います。

尚、陸上戦が大半を占めており、海賊としての海上戦であったり略奪や殺人といった部分はテーマ的に抑えられています。
これだけ売れてしまうと一般常識レベルの作品になると思いますが、決してスタンダードであってはならない作品だと思います。

普段必要以上に漫画に触れず、またこれ以外の漫画や近年のジャンプ作品しか知り様の無い世代や衆には、非常にインパクトがある作品でしょう。
ストーリー物としてやたらと長いですが、それに耐えられる方は最低限普通に読めると思います。

ナイスレビュー: 14

[投稿:2010-07-05 18:16:45] [修正:2010-07-05 18:16:45] [このレビューのURL]

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