「ROADRUSH」さんのページ

総レビュー数: 4レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年10月02日

それまであったジャンプ漫画のパターンを世襲しながら、見事なまでのアイデアでその問題点を克服した名作です、これは。
絵はド下手だけど。

「リングにかけろ」から「キン肉マン」「幽々白書」「ドラゴンボール」など、それまでのジャンプ漫画の難点は、敵がどんどんインフレ化していく点にあった。
主人公はそれを努力や修行でより強力な必殺技を手にしたり、より強くなり討ち果たす。
敵を倒すのは、同じ土俵でより強くなることのみ。

だが、この作品では主人公が実力ではなく、ラッキーのみで勝つというのがミソ。
ハチャメチャなんだけど論理的整合性がある、ラッキーという(実は考え抜かれた)ギミックが最高に効いているんですよ。
主人公が次々にかっこいい技を開発したり、果てはスーパー・ナントカになるというのに飽き飽きしていたジャンプ読者にとっては、実に見事な新しい試み。

このガモウひろしという人は、それまでのパターン漫画の問題点を知り尽くしながら、どうやってそれを打ち破るかを考え尽くしてこの作品を生み出している。
間違いなく非常に頭がいい人だと推察されるし、ユーモアのセンスもよい。
もうひとつ、パターン漫画の打ち破りに成功した例としては「ジョジョの奇妙な冒険」で、こちらは「スタンド」能力の多様性と特異性のギミックで、最強ではないものが最強のものに勝つというものだが、こちらはトランプやチェスのような勝負のゲーム性が強い。

ラッキーマンはどちらかというと「カラクリ玩具」に近いギミックで、「風が吹いたら桶屋が儲かる」的な流れを楽しむものだ。
勝ち負けよりその動きの面白さこそが真髄であり、そのため大変に話が明朗快活だ。
ただ、この素晴らしい解決法は、ラッキーマンというキャラクターしか成し得ない。

絵がうまいわけでもないので、ガモウひろしにその後のヒット作がないのがやむなしだし、可哀想ではある。
だが、「とっても!ラッキーマン」は間違いなく名作だ。

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[投稿:2010-10-02 16:55:53] [修正:2010-10-02 16:55:53] [このレビューのURL]

このキン肉マン単体を一気に読むとなかなか評価は厳しいかも。
しかし、現在までの格闘漫画へ与えた影響度は計り知れず。
「北斗の拳」よりも大きいです。
ただ、この作品も作者は7人の悪魔超人編くらいまでで終わらせるつもりだったんだろうね。
日本の文化に影響を与えるくらいの人気になり、ジャンプにしても金のなる木ということで無理やり描かせた結果、かなりの無茶な話になってしまった。
それでも毎週連載の形態では毎回楽しみを与えてくれる魅力はあったんですよ。
連載物は単行本で一発で読むのとは違うワクワク感を与えてくれるものですが、「次回はどうなるのか!?」という引きが実にうまかったんです。

もうひとつ、このキン肉マンで、ジャンプのヒットパターンが生まれてしまいます。

最初はギャグ漫画でも何でも作者に好きなように描かせる。
その後は編集部が作者に命じて敵を出させる。
倒したらもっと凄い敵を出す・・・といった具合。
そして作者はひたすら戦闘描写のみ描きつづけなくちゃならなくなる。飽きられるまで。

過去の「巨人の星」「リン賭け」などでもその傾向はありましたが、キン肉マンの実験的試みがあまりにも素晴らしい成功をもたらしたため、その後のジャンプのマニュアルになってしまったのですね。
「幽々白書」や「とっても!ラッキーマン」などまさにそのパターンで、あとは作者がそのパターンを命じられ、ストーリーの自由がない中、いかに楽しませるかという勝負になっていきます。
キン肉マン単体には厳しい評価もあるかもしれませんが、日本の漫画文化そのものに与えた影響は凄まじいものがあると思います。

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[投稿:2010-10-02 16:13:19] [修正:2010-10-02 16:13:19] [このレビューのURL]

連載開始当時、ジャンプの漫画の中では「恐怖漫画なのか?」と思わせるくらい異色で衝撃的な作品でした。
丁度その頃は、映画「マッドマックス」の影響で、映画にもかなりひどい暴力描写が描かれるようになる過渡期でしたし、一方でTVは香港のカンフー映画を連日のように放送しており、子供達にカンフーが大ブームの時期。
まさに時代の申し子のような漫画でした。
頭が破裂したり手が人間を串刺しにしたりと、黒澤明の時代劇映画のような容赦ない描写も、今となっては当たり前ながら当時の少年誌では画期的。
にもかかわらず勧善懲悪がしっかりしており、「必殺!仕事人」的なカタルシスが実に面白いのです。
おそらくこの作品はそんなに長編にするつもりもなく、シンとの対決で終わりにするはずだったのでは?
ジャンプの悪いクセで、人気が出ると敵をどんどんインフレ化して、無限に続かせるのも考え物です。
ジャギが登場するところくらいまでは非常に名作ですが、だんだん三国志や史記のようなお話になってくるとおかしなことになってきます。
内容はあくまで娯楽。
「ダークグリーン」や「ブラックジャック」のような考えさせられる作品とはまったく違います。
しかし、一度は絶対に呼んでおいた方が良いオモシロ作品です。

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[投稿:2010-10-02 15:49:30] [修正:2010-10-02 15:49:30] [このレビューのURL]

少年ジャンプで北斗の拳の連載が始まり、同誌がリアルな絵柄の格闘漫画一色の時期に出た作品でした。
巻来功士は後にゴッドサイダーで人気を博しましたが、このころはまだほとんど新人。
逆にそれが良かったのかあまり読者に媚びる事もなく、本格SFアクションとして割とよく出来た作品だと思います。
独裁者の支配する未来世界で、様々な権力者や金持ちが自分の所有する戦闘用アンドロイドを格闘させる、という古代ローマのグラディエーターのSF版という点は、絵の迫力も手伝って当時は斬新でした。
ロボット達には感情はありませんが、容赦がないため結構残酷な描写もあります。
そんな中現れたギルファーという戦士の謎とその目的を描いています。
人でありながら人でないものにされてしまったものの悲しみを描くものとしては、後の映画「ロボコップ」や小説「戦闘機甲兵団レギオン」などの先取りをしています。
しかし、本格を目指しすぎたためなのか、ストーリーにあまり無茶振りがなく優等生的過ぎて、エンディング近くはかなり急いだ感があるのが残念。
映画のような構成なのでドラゴンボールのように新しい敵がどんどん出て無限に続く作品にはなりえないので、この位の長さがちょうど良かったのかも。

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[投稿:2010-10-02 15:29:28] [修正:2010-10-02 15:29:28] [このレビューのURL]

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