「ブレードランナーズ・ハイ」さんのページ

総レビュー数: 5レビュー(全て表示) 最終投稿: 2011年11月19日

このサイトの中で評価の高い漫画群では意外とレビュー数が少ないが、もっと評価されるべき作品だと思う。

作者がもとはサラリーマンをやっていてプロになったのが遅いためか、最初は画も構成も非常に粗削りだが、巻が進むほどに加速度的に技術が洗練され、恐ろしいほどに面白くなっていく。
特にアクションのスピード感や痛快感は今まで読んだどの漫画よりも圧倒的。

一読しただけでは何が起きてるかわかりづらいが、2週3週と読み直すとそのたびに画面上の光景のものすごさを理解できるはずである。

普通の漫画家なら避けるような、描くためには凄まじい労力が必要となるであろうコテコテなデザインの登場キャラたちも凄い。
台詞のセンスも格好良い。

個人的には今世紀に完結したアクション漫画の中では最高クラスの名作だと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-12-07 13:51:06] [修正:2011-12-07 13:51:06] [このレビューのURL]

勇者と大魔王、光と闇、正義と悪、魂の力と暴力、平和と混沌・・・

ダイ達と魔王軍の性質や理念・目的をわかりやすく対極の関係で分けたため、物語の軸がぶれず一貫して高い完成度を維持できた名作。とにかくアツい。
だがそれだけではなく、子供の頃に読んでも実感の湧かないような深みがあるので、大人が読んでも非常に楽しめる。

その深みの一例として“太陽”を挙げてみる。

最初に述べたように、ダイ達と魔王軍は基本的には対極の存在に位置しているが、双方に共通した源は太陽である。

力が強いというだけで地の底に封じられた魔界のために太陽を手に入れようとする大魔王。そして自らが太陽となり仲間を照らそうとするダイ。
ある意味でこの作品の最大のテーマともいえる。

そして太陽を巡るテーマにより、序盤はどう見ても勧善懲悪だった作風に疑問を投げかけ深みが生じる。
加えて竜の騎士の運命も交えることで、人間の本質にも踏み込み、単なる子供向けの漫画とは明らかに異なる重厚さを感じさせる。

本当に素晴らしい作品だと思う。子供の頃の少年漫画の入門書としてだけではなく、是非大人になっても読み直してもらいたい作品である。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-12-07 13:25:42] [修正:2011-12-07 13:25:42] [このレビューのURL]

当時の読者や今の漫画・アニメ業界で活躍するする人たちに多大なるトラウマを与えたであろう伝説の漫画。

永井豪の恐ろしさは、倫理観や理性を無視した超展開がノーモーションで飛び出ることにある。インタビューでも自ら語っていたが、おそらく永井豪はこの漫画を描き始めたとき、細かなことは何も考えていなかったと思われる。
グロテスクな表現はこの人の持ち味みたいなもので最初から頻繁に使われるが、作品全体としてはギャグを取り入れつつもあくまで古典的なダークヒーローものの漫画を描くつもりだったのだろう。

しかし一度ぶっ飛んだ展開を思いついたら、強引だろうが狂っていようが躊躇なくその方向性で物語を持っていく。たとえそれが、アニメも放送している人気作であってもお構いなしに、本能の赴くままにだ。

もちろん読者は予想を上回る展開に驚愕させられるわけだが、そのパワーとインパクトがこの漫画を伝説の名作へと押し上げた。
このような破壊力のある漫画は今後登場することはないかもしれない。
描ける漫画家もいないだろうが、仮にいたとしても一般に受けいられるとは思えない。

昔に比べて、読み手のキャパシティも作り手の能力も、今の時代は洗練されすぎてしまったと思う。

まだ読んでいない人は、漫画の表現も作者の本能も全てが無修正で出版することが許された時代の傑作に心酔するべし。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-11-18 12:38:03] [修正:2011-11-19 12:32:46] [このレビューのURL]

まぁ基本的にはHUNTER×HUNTERと比べると捻りのない典型的なバトル漫画なのは間違いないのだが、個人的にはハンターにひけを取らないほど好き。
王道の中でチラ見せするダークさや、得体の知れなさはかなり魅力的だと思う。

要所要所の心理描写や人間関係、特に悪役周りのエピソードは繊細で奥深く、美しい。最初は謎だらけのキャラも徐々にバックボーンが明確化され、最終的には読者に感情移入させられるようなわかりやすくも魅力的なキャラになっているのもすごい。

その辺の素直さや緩急のつけ方はハンターより好きかも。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-11-19 12:22:00] [修正:2011-11-19 12:22:00] [このレビューのURL]

細かい整合性や展開の違和感にツッコむのはナンセンス。この漫画には現代の漫画にはない迫力や破壊力がある。
もともと漫画なんて空想の世界なのだから、紙の上に広がる空想世界に読者を引き込めたら勝ちなのである。

そういう点ではこの作品は至高である。子供たちの心を鷲掴みにし、そのままトラウマ一直線にしてしまう恐れのある恐怖の世界観&物語&作画だ。
少なくとも、読み終えたら確実に食欲がなくなってしまう破壊力。
そしてありえない展開の中に終始流れる極限の集団心理の生々しさ。
ユーモアとおぞましさがにじみ出る画。

間違いなく傑作。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-11-19 12:08:00] [修正:2011-11-19 12:08:00] [このレビューのURL]